ボクシングPRESSBACK NUMBER

「後の世界王者に勝利、一時は世界7位に」“天才二世ボクサー”と呼ばれた内藤律樹34歳は今…「生き残りをかけた戦い」オーストラリアでの挑戦に密着 

text by

関根虎洸

関根虎洸Kokou Sekine

PROFILE

photograph byKokou Sekine

posted2025/12/26 17:02

「後の世界王者に勝利、一時は世界7位に」“天才二世ボクサー”と呼ばれた内藤律樹34歳は今…「生き残りをかけた戦い」オーストラリアでの挑戦に密着<Number Web> photograph by Kokou Sekine

元日本・東洋太平洋王者の内藤律樹。2024年12月、石川町のE&Jカシアス・ボクシングジムにて

 一方、その後も勝ち続けたリアム・パロは、2024年6月にIBF世界スーパーライト級王者スブリエル・マティアスに挑戦。王者の地元プエルトリコで番狂わせを起こし、見事に世界タイトルを奪取してしまう。その後は初防衛戦に失敗してしまうが、現在も世界の上位にランクされるパロのスパーリングパートナーとして、リッキーに白羽の矢が立ったのである。

「チャンスだな……」

「……そうですね」

ADVERTISEMENT

 土曜日にパロとのスパーリングが終わると、1時間しか時差のないオーストラリアから電話がかかってきた。

 興奮気味だったリッキーの口ぶりを要約すれば、スパーリングは概ね上手くいったようだ。翌週もパートナーを頼まれらしい。リッキーは自分のボクシングが今も世界レベルで通用するという手応えを感じていたはずだ。そして数日後、パロとのスパーリングがきっかけとなり、9月18日にリアム・パロがメインイベントに出場する興行のアンダーカードにリッキーの参戦が決まったのである。

現地の人気選手と戦う「Bサイド」としてのオファー

 リアム・パロをプロモートするのはティム・ツーやニキータ・ツー兄弟ほか、多くの人気選手を擁するオーストラリア最大のプロモーション「ノーリミット」。2020年に設立されたノーリミットはCEOを務めるジョージ・ローズを始め、先住民の血を引くプロラグビー選手だった3兄弟によって運営されている。急速に成長したノーリミットが契約する候補者数人の中から、リッキーの対戦相手は長身の白人ファイター、ジェイコブ・ン(Jacob・Ng)に決まった。

 現地で人気の高いジェイコブの再起戦をプロモートするノーリミットは、Bサイド、つまり主役であるジェイコブの対戦相手を探していたのだ。昨年11月の国内タイトルマッチ挑戦が失敗に終わり、チャンスに飢えていたリッキーは相手が誰であろうと断らないと決めていた。6ラウンドとスーパーウェルター級という条件を受け入れたことで試合が成立したのである。

【次ページ】 長身で好戦的な“フラミンゴ”「勝機は充分にある…」

BACK 1 2 3 4 NEXT
#内藤律樹
#カシアス内藤

ボクシングの前後の記事

ページトップ