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「『SASUKE』はそんなに燃えないんです」現代日本“最強のニンジャ”が語るオブスタクルスポーツの現在「アメリカには800以上のニンジャ・ジムがある」
text by

雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byTadashi Hosoda
posted2025/12/25 11:06
日本のオブスタクルスポーツの第一人者である千葉大1年の山本遼平。アメリカではプロのニンジャ選手も存在するなどマーケットも大きい
〈名もなきアスリートたちのオリンピック〉をキャッチコピーにさまざまな職種の人が登場する形で始まった同番組は30年近く続いてきた人気コンテンツだ。毎回100人の出場枠があり、近年は名のある人たちも数多く参戦しているから、無名の人が参入するのはかなりハードルが高いらしい。
「自分の同世代でも『SASUKE』を目指している子はたくさんいます。でもやっぱり全然出られてはいない。エンドレスに腕立てとかをやって突破していくのはなかなか厳しいですよね」
「それでも出場できたらそこそこいけるんじゃないですか?」と水を向けると、「まあ、いけるんじゃないですかね」とうなずき、「視聴者の方からしたら、出てないのにそんなこと言うなって話でしょうけど」と申し訳なさそうに言うのだった。
『SASUKE』はあくまでもエンターテイメント
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実際に山本であればかなりのところまでいけるのではないかという期待感もある。山本自身には出場経験がないのに、『SASUKE』を目指す仲間の技術指導もするというエピソードがそのポテンシャルの高さを物語っている。
『SASUKE』はあくまでテレビ番組であり、その道のプロが優れたエンターテイメントにするために知恵を絞っている。予選もエンターテイメントの一環だからこそ、競技スポーツ的なものとは相容れない部分も出てくるのは仕方がない。
山本もそれが理解できているからこそ、「純粋なニンジャ的な大会があればそちらで完結していきますよね」と今は視線をニンジャを含むオブスタクルスポーツに向けて邁進しているのだ。
そして、日本発であったはずのニンジャ文化はむしろ海外においてどんどん広がりを見せている。
昨年7月、山本はアメリカのアナハイムで行われたUNAAの世界大会に出場した。UNAAとはUltimate Ninja Athlete Associationの略で、その世界大会は各国の猛者が集う最高峰の舞台だ。

