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「鎌田、嫌われているのでは」かつては英国ファン不満露わも…鎌田大地「少なからず学べている」ゴールでもアシストでもないプレミア適応の核心 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byRyan Pierse/Getty Images

posted2025/12/20 17:01

「鎌田、嫌われているのでは」かつては英国ファン不満露わも…鎌田大地「少なからず学べている」ゴールでもアシストでもないプレミア適応の核心<Number Web> photograph by Ryan Pierse/Getty Images

痛い負傷離脱となった鎌田大地だが、1年間でロンドン南東部クリスタル・パレスでの評価を高めた

「あぁーっ!」

 2ボランチの一角に入った鎌田が横パスを出すと、本拠セルハースト・パークのメインスタンドから苛立ちの声が上がったのは事実だった。

 そこで、起用法に関して監督と話はしていないのかと尋ねると、こう答えてくれた。

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「監督自身も多分、やりたいサッカーは多少なりとも(現状とは)違うし、現実的にやらないといけない部分もたくさんあって、それ自体は自分も理解できる。常にボールを握れるチームではないので、守備の部分は感覚的に少し変えたところもあるし、良くなっている部分も感じている。少なからず学べていると思うし、良い経験だと思ってしっかりやっていくことが大事かなと思います」

じわじわとサポーターの信頼を得ていったワケ

 続くフルアム戦後には、「勝ち点も取れているし、(今の戦い方を)変える必要はないと思う」とも言っていた。勝っても13位という順位だが、降格圏からは、シーズン後半戦突入時の5ポイント差から、16ポイント差へと遠ざかっていた。後半30分から2シャドーの一角に投じられていながら、「10番で入りましたけど、どちらかというと守備の部分を求められている」と、淡々と語る鎌田の存在は、じりじりとパレスが下位から這い上がる中で、じわじわとサポーターの意識の中にも入り始める。

 基本システムに落ち着いた3-4-2-1が、コンパクトな5-4-1へ、相手によっては4-5-1へと移行されることもある、速やかなボール非保持時の対応は見事だ。昨季プレミア開幕10試合で黒星が5つを数えたチームが、フルアム戦以降の13試合で2敗のみ。鎌田は5度の先発を含めて、そのラスト13試合の全てで起用された。

ゴールもアシストもなくても“効いていた”

 ゴールやアシストを記録していなくとも、鎌田が効いていた好例がある。2024-25シーズン終盤戦、リーグ第31節のブライトン戦、そしてFAカップ決勝である。

【次ページ】 ゴールもアシストもなくても“効いていた”ワケ

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