メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
グラスノー興奮「ロウキ、信じられない」LA紙が知る佐々木朗希“リリーフ覚醒”舞台裏「9月8日、ホテルの一室で」「シャイな青年が…さらけ出した」
text by

ディラン・ヘルナンデス Dylan Hernandez
photograph byROBERT GAUTHIER/Los Angeles Times
posted2025/12/26 06:02
佐々木朗希はドジャースの「ブルペン問題」の解決策になったようだ。ただし本人が先発を望んでいるのは間違いない
「ホテルでの出来事だった」
9月8日のことだった。
佐々木はオクラホマシティのホテルの一室で、翌日の3Aでの登板に備えていた。
ADVERTISEMENT
食事を取りながら、大船渡高校時代の自身の映像を見返す。脚を高く上げるフォームは当時も変わらないが、そのあとが異なっていた。
以前のほうが、着地足の着き方とリリースの動作に躍動感があるのに気づいたのだ。
「これかな」
佐々木はそうつぶやいた。
そして、ホテルの部屋ですぐにシャドーピッチングを始め、日本球界が生んだ「史上最高の才能」と言われていた頃の下半身の使い方を取り戻そうとした。
すると翌日、球速が戻った。
先発として4回3分の2までに投げた90球のうち、6球が時速100マイル(約161キロ)を超え、平均は98.5マイル(約158.5キロ)に達した。
前回の登板では、平均94.4マイル(約152キロ)だった直球が、だ。
「純粋に興奮した」ロバーツ監督のハグ
2日後、佐々木はドジャースの編成本部長アンドリュー・フリードマン、GMのブランドン・ゴームスと話し合いの場をもった。2人は佐々木に対して、来期以降は先発での起用を考えていると伝えつつ、ひとまずリリーフにまわってみないかと持ちかけた。佐々木としても、プレーオフのメンバーに入れる確率がグッと上がりそうな提案だった。
そしてその後は、メンバー入りがギリギリだったとは思えないほどの活躍を見せている。
地区シリーズに最優秀選手賞(MVP)はないが、あるなら選ばれるのは佐々木だろう。
第1戦と第2戦ではセーブを記録した。勝負の第4戦では、ロバーツ監督から声がかかった時点では2イニングの予定だったが、結局3イニングを投げ抜いた。まずは8回、カイル・シュワバー、ブライス・ハーパー、アレク・ボームを3者凡退に切って取る。
その後もフィリーズ打線を力でねじ伏せ、9回と10回も完璧に抑えた。
「ホッとした」と佐々木はコメントしている。
一方、ロバーツは気持ちが昂ぶるのを感じていた。
「純粋に興奮した」
とロバーツは言う。だからこそ、佐々木がダグアウトへ戻ってくるのを待ちきれないかのように、ベンチを飛び出してグラウンドで抱擁したのだ。
佐々木の奮闘で1対1の同点を保ったドジャースは、迎えた11回、相手5番手オライオン・カーカリングの悪送球でサヨナラ勝ちを収めた。
グラスノー「自分が見た中でも最高レベル」
「ロウキは信じられない選手だ」
先発のタイラー・グラスノーが言う。

