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「テレビの終焉です」WBC地上波放送が消えた“本当の意味”…Netflixと日本の放送、比較にならない“金額差”「WBCは稼げるイベントに変化した」
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水次祥子Shoko Mizutsugi
photograph byNaoya Sanuki
posted2025/12/18 17:01
観客動員、グッズ販売、スポンサー契約の収益…軒並み大会史上最高を更新した前回WBC
稼げるイベントに進化…過去最高収益に
そうした活動と並行して、WBCの価値を高めていく。いずれも、野球普及という目的は明確だった。
「ただ、それと同時に、MLBはWBCをどんどんビジネス化していったというか、非常に稼げるイベントという認識に変わっていった。その極めつきが、2023年の前回大会でした」
コウタ氏はそう指摘する。
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侍ジャパンが決勝で米国を倒し、最後に抑えとして登板した大谷が当時のエンゼルス同僚マイク・トラウトを三振に切って取り優勝を決めた瞬間は、歴史に残る名勝負と称賛され、大きな話題を呼んだ。
MLBの発表によると、大会の収益は日本、米国、台湾開催のすべての試合を含め9000万~1億ドル(現在のレートで約140~155億円)の大会史上最高額になったと報じられており、観客動員はこれまでの最高だった2017年大会から20%増で史上最多を更新する130万6414人を記録。グッズ販売、スポンサー契約の収益も軒並み大会史上最高を更新し、すべてにおいて想像をはるかに上回る大成功といわれた。
Netflixと日本の放送権料の「差」
最高潮に盛り上がった前回WBCを経て、来春の大会はさらに盛り上がると期待が高まっていた。
そんな中でのNetflixの日本独占配信決定の発表は、日本に衝撃を与えた。今や国民的関心事となった大会が地上波から姿を消すということを、誰も想像していなかった。
「率直に言って、テレビの終焉ですね」
コウタ氏は、ズバリと言った。
伝えられているところによると、前回大会の日本での放送権料は30億円。それに対してNetflixが支払う日本での独占配信権料は150億円にもなるという。
「その金額感は概ね正しいと見ています」
そうも付け加えた。
〈つづく〉

