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ロッテ・松川虎生「悔しくて、しんどかった」18歳で佐々木朗希と完全試合→今季出場6試合の現在地…再会した朗希の言葉に取り戻した“誇り”
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梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byJIJI PRESS
posted2025/12/19 11:06
2024年、渡米前最後のファン感謝イベントで仲睦まじいツーショットを見せた佐々木朗希と松川虎生
あの日とは完全試合の前日の4月9日のこと。千葉市のホテルに宿泊していた2人は鉄板焼きを食べた。懐かしい思い出だ。
「誘われた時、え? 先発前日に鉄板焼きを食べるの? と思いました。正直、そんなに野球の話はしていない。『明日のバファローズ戦、頑張ろうね』くらい。あの時はまさか次の日、あんなことが起こるなんて夢にも思っていなかったです」
記憶を辿る松川はそう言って笑顔を見せる。
「来年は野球人生を懸けて」
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このオフ、松川は課題である打撃向上に努めている。まずは力をしっかりと伝えるために右ひざを意識した打撃を行うこと。そして理想とするフルスイングを見つけた中で、そこから無駄な部分を取り除いていくという作業を繰り返した。そうすることで徐々にコンパクトながら速球に負けないスイングが出来るようになり、打球に鋭さが生まれた。宮崎県都城市で行われた秋季キャンプ中の紅白戦でも結果を出すなど、今までと明らかに違う打球に手応えを感じ取っている。
「来年は野球人生を懸けて頑張る。泥臭くやるだけ。大卒で同い年の新人も入ってくる。捕手ではライオンズのドラフト1位で明治大学の小島大河選手が同じ年。高校を出てプロに入った自分としては負けたくない思いが凄く強い」
食事をした11月のあの夜の後も、松川のスマホには佐々木からLINEが届く。まるで兄のように、どこまでも気にかけてくれていることが嬉しい。そしてその度、完全試合の最年少バッテリーとしての誇りを胸に、逆襲の一年に挑む決意を強くする。松川はただの捕手ではない。今のプロ野球で誰も経験したことがない“完全試合捕手”なのだ。勝負の5年目へ。華やかな舞台に返り咲く時だ。


