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甲子園の風BACK NUMBER
「気合いを入れ過ぎたらダメ」“部員はほとんど塾通い”大阪の公立進学校野球部が気付いた「強豪私学に勝つ」秘訣とは?「練習の工夫は…別にないです」
text by

沢井史Fumi Sawai
photograph byFumi Sawai
posted2025/12/16 11:03
秋大会では強豪私学にあと一歩で敗れ、ベスト8進出を逃した大阪府立生野高校。さらに上を目指すには、公立校ゆえ気の持ち方も重要になるという
それでも松本は大阪でベスト16に残ったことを誇りに思っている。
「公立だからと期待されることもあると思うんですけど、強いチームに勝つのは単純に気持ちがいいです。秋はみんなでそういう喜びを分かち合えたのは良かった」
近畿地区の21世紀枠候補にはならなかったとはいえ、生野高校のグラウンドにはネガティブな空気は全く漂っていなかった。むしろ「次こそは」という思いを全員で共有し、寒さに負けない熱気がそこにはあった。
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「今の2年生は特に一生懸命練習する学年で、いつも自分たちで常に考えながらやっています。だからすごく楽しみなんです。夏は打てないと勝てないので、今以上に振る量は増やさないといけないと思っています。全体的に体重を増やしてしっかり振れる身体を作っていきたいですね。ピッチャー陣も自分たちがパワーアップしないといけないと思っているのではないでしょうか」(吉村監督)
生野高校では月に1度、外部コーチが訪れて指導にも携わっている。
ミーティングをして目標設定や課題克服する「チームコーチング」も導入し、具体的な目標を掲げながら練習に取り組んでいる。松本も「筋肉量を増やして体重は(現在の)65キロから72~73キロくらいにはしたいです。あとはコントロールをもっと磨いてスピードを上げたい。140キロくらいまで上げられたら」と前を向いている。
来夏は実力で甲子園を目指す…!?
さらに松本はこう続けた。「(大阪府の21世紀枠候補に)選んでもらったのはすごく嬉しかったですし、学校の歴史にも残ったと思います。興国戦はやっぱり悔しかったですが、強い気持ちを持って投げることの大事さがあらためて分かりました。春もしっかり勝ち上がって、夏に繋げていきたいです」
来春、そして来夏。激戦地を揺るがすかもしれない右腕は、そう言い残して冬の空気が支配するグラウンドの向こうへ走っていった。

