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山本由伸の変化「他の人は気づかないけど」正捕手スミスが重要証言…ドジャースのワールドシリーズ連覇を支えた男「じつは内野手失格だった過去」―2025年下半期読まれた記事
text by

及川彩子Ayako Oikawa
photograph byAFLO
posted2025/12/20 11:01
ドジャース山本由伸の投球を正捕手として支えるウィル・スミス
スミスが語る「他の人は気づかない」山本の進化
バッテリーの関係は2年目に入り、さらに充実度が高まっている。
「ヨシはどの持ち球もキレが増しているし、内角攻めに磨きがかかっている。去年と比べて間の取り方も上手くなった。他の人では気づかないようなほんのわずかな間だけど、テンポを変えることで投球がさらに良くなっている」
春季キャンプでは佐々木朗希の球も何度か受けたが、「ロウキのスプリットは毎回違う動きをする。後ろに逸らさないために、できるだけ前に出て捕ろうと必死だよ。あんな球、今まで見たことがないよ」と苦笑いする。
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身長203cm、体重102kgでパワー系のタイラー・グラスノウ、2度のサイ・ヤング賞に輝いた左腕のブレイク・スネル、178cmで技巧派の山本、ルーキーの佐々木ら、体格も球種も性格も異なる投手たちをリードする。
「98マイル(約158km)の速球は、どの投手の球でも捕手が感じるスピードや圧は同じだ。でもグラスノウとヨシでは投げ方も身長も違えば、スピン数も違う。球速よりも角度やスピンによって、球の見え方は変わってくる。そして当然ながら打者の球の見え方も変わってくる。球の入る角度によって打球の弾き方が違うんだ」
スピンの掛かり方、打者のスイングの癖などを考えて配球を組み立てる。
「速い球よりもスピンが掛かった球の方が捕るのが難しい。『こっちに動きそうだ』『あっちに動くぞ』と予想しながら捕らなきゃいけないからね」
スミスが向き合う「0.4秒」
160kmの球を投手が投げてから捕手が捕るまでの時間は0.4秒程度とも言われるが、そのわずかな間に球の行方を判断し、ミットに収めていく。
「試合前は多くの情報を処理して、打者をどう打ち取るか、投手の得意な球種、配球、それを生かすためにどうアドバイスすべきかに常に頭を巡らせている」
