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「新しい価値を作っていける」大迫傑(34歳)が本音で明かす中国メーカー「リーニン」と契約したワケ「メイド・イン・チャイナの概念を変えた方がいい」
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涌井健策(Number編集部)Kensaku Wakui
photograph byShota Matsumoto
posted2025/12/06 17:02
12月7日のバレンシアマラソンに出場する大迫傑が、中国メーカーのリーニンと契約した理由を明かした
大迫 僕もそういうコメントはみました。結構チェックしているので(笑)。でもそういう人たちは「メイド・イン・チャイナ」の概念を変えた方がいいですよ。ランニングまわりだけみても、勢いのある腕時計メーカーのCOROS(カロス)も骨伝導イヤホンのShokz(ショックス)も中国のメーカーですから、あなたも知らないうちに中国製品を身につけていますよ、と。
それにそもそもの話をすると、NIKEだってアシックスを手本にしていますよね。元々オニツカの靴を輸入してアメリカで販売していた会社ですから。そこを起点にして、ありていに言えばアシックスの真似をして、自分たちなりに技術を積み上げ、イノベーションを起こしてきたわけですよね。大学時代に僕がNIKEのシューズを履き始めた時は、まだミズノとアシックスが主流で「ナイキの靴ってちゃっちいよね?」「それで大丈夫なの?」って言われたんですよ。でも厚底シューズができてドミノ倒しのようにみんなNIKEのシューズを履くようになった。それをアディダス、アシックスなど他のメーカーが必死に追いかけてきて、追いつきつつあるのが今です。
本質を見て、未来を想像する
――今後、シューズを巡る構図はどうなると思いますか?
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大迫 過去と同様のことが起こりうるんじゃないかなと思っています。僕がリーニンのシューズを履いてると「ナイキのパクリだね」とか言われるんですよ。言葉が悪いですけど、そういう見方しかできない人たちは、周囲が作った価値にしか乗れない「後追いの人種」なんだろうなと。やっぱり本質を見たり、プロダクトの先に何かを見つけて、未来を想像しなきゃいけない。「ちょっと先の未来、どうせあなたたちもリーニンを履いてるよ」って(笑)。
――ちなみに今はどのモデルを履いているんですか?
大迫 レースで履いているのは「FEIDIAN 6 ELITE」です。FEIDIANの1個下のモデルである「CHALLENGER」も履いてますし、ジョグは「RED HARE」ですね。RED HAREというのは中国の歴史で有名な馬から来ているらしいです。勉強不足ですが、「赤兎馬」だったかな。
――赤兎馬、思わず焼酎を思い浮かべてしまいました(笑)。
大迫 そうなんです、つい芋焼酎に頭がいってしまいますよね。でもレースシューズだけに絞っても、トレーニングも順調に積めていますし、いいシューズだなと思います。そもそもあんまりシューズに対する自分の感覚を信じていないというか、体をシューズに合わせていく面の方が強いです。NIKEアルファフライの感覚、もう忘れてますもん。


