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「結婚指輪をなくした。申し訳ない」涙の電話から翌日…妻大喜び「ありえない。奇跡よね」金メダリスト競歩夫婦がアツアツ「内側にお互いの名前」
posted2025/12/09 17:30
世界陸上男子20km競歩で金メダリストとなったカイオ・ボンフィム。しかし競技中に結婚指輪を紛失していた
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Kiichi Matsumoto
「ゴールインしてから間もなく、彼が泣きながら電話してきたの。大きな国際大会で初めて優勝して、気持ちの高ぶりもあったのでしょうね。『とうとう勝ったよ。でも、君の名前が刻まれた、家族にとってとても大事な指輪をなくしてしまった。申し訳ない』って……」
今年9月、東京2025世界陸上において男子競歩20kmで金メダル、35kmで銀メダルを獲得したブラジル人選手カイオ・ボンフィム。彼が金メダル獲得のレース中になくした結婚指輪が見つかり、帰国直前に手元へ戻るという奇跡のような出来事は、日本国内でも大きく取り上げられた。先の発言は、カイオの妻ジュリアーナが語ったものだ。
この指輪は、ただの結婚指輪ではなかった。
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カイオの両親は結婚して10年経つ度に金の指輪を作り、カイオとジュリアーナが結婚したとき、それまでの30年間に作った合計6本の指輪で新たな指輪を作ってプレゼントしたのだ。内側には互いの名前が彫られていた。
「僕の指輪の内側にはジュリアーナの名前、彼女の指輪には僕の名前を彫った。それから9年。つまり、指輪には僕たち家族の39年の歴史が詰まっていたんだ」
指輪をなくした競歩選手が優勝できた意外な理由
カイオによれば、20kmのレースの3km地点でスポンジを捨てようとした際、薬指にはめていた指輪がスポンジに引っ掛かり、一緒に飛び出してしまったのだという。
立ち止まって拾うわけにはいかない。カイオはレースを続けながら、その地点を再び通過した際に係員に指輪の保管を英語で頼んだが、言葉が通じたのか不安だった。そして再びその地点に戻ったとき、指輪はもうそこになかった。
レース中にどのような思考を巡らせたか、カイオはこう振り返る。
