「始まりはネイマール切りだ」メッシもエムバペも去ったのにCL制覇“スター依存脱却”がPSG名将の凄みだった…フランス名門誌編集長ズバリ

　フランス・フットボール誌編集長ヴァンサン・ガルシア氏のインタビューの第2回である。〈全3回／第3回に続く〉

　悲願のCL初制覇を成し遂げたパリ・サンジェルマン（以下PSG）勢が、レイモン・コパトロフィー（21歳以下のヨーロッパ最優秀選手賞）を除き男子のタイトルをすべて独占した今回のバロンドール。どうしてPSGは、これまで幾度となく跳ね返されたヨーロッパの壁――メッシ、ネイマール、エムバペの「MNM」ですら破れなかった壁を、突き抜けることができたのか。

　監督のルイス・エンリケが最大の貢献者であるのは間違いない。ではどうやってルイス・エンリケは、困難なミッションを達成したのか……。ガルシアが語った。

ルイス・エンリケはまず“ネイマールを切った”

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――ルイス・エンリケはヨハン・クライフトロフィー（最優秀監督賞）に値すると思います。彼以前にもPSGにはカルロ・アンチェロッティはじめウナイ・エメリやトーマス・トゥヘル、ローラン・ブランなどが監督を務めましたが、誰もヨーロッパの頂点には立てませんでした。彼らとルイス・エンリケの違いはどこにあるのでしょうか。

「違いは……まずPSGがマネジメントを方向転換した。カタール・スポーツ・インベストメント（以下QSI）に買収されたときからPSGは、スター選手中心主義だった。それを偉大な監督が管理し統率するスタイルだが、そこにルイス・エンリケが新たなプラスアルファを持ち込んだ。コレクティブなプレースタイルだ。

　就任後、まず行なったのはネイマールを切ることだった（※バルサ時代、ルイス・エンリケは監督としてメッシ、スアレスとの「MSNトリオ」を重用した）。クラブが強く望んだエムバペの契約延長にも、彼はまったく関与しなかった。エムバペが偉大な選手であるのは間違いないが、エムバペ抜きでもコレクティブなプレーを実現できるという考えだった。その後に起こったことを見れば、彼が正しかったのは明らかだ。

©Kiichi Matsumoto

　彼は自らの理念にも基づき選手を獲得し、グループを形作ってプレーを構築した。エネルギーを注いだのは、スター選手のマネジメントではなく、コレクティブなプレーをいかに練りあげていくか、つまり選手が互換可能なチームだった。今年の10月1日にCLでバルセロナを2−1と破ったが、多くのレギュラーを欠いての勝利だった」

メッシもエムバペも去ったのに

――前線ではデンベレ、ドゥエ、クヴァラツヘリア。守備でもマルキーニョスが不在でした。

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