「近くに出たら部活を続けるわけにはいかない」“クマ問題”が学生野球に与える大打撃…球場の近くにも出没で「生徒たちの将来が変わってしまう」 

　東北地方のある新進気鋭の指導者も、クマ騒動に悩みが尽きない。

「コロナの時もストップがかかるのがすごく早かった。今回もそんな空気が流れ始めていますね、運動部全体に。基本的にバスに乗せて、相手チームのグラウンドに行って……もしくは、その逆ですけど、山越え、峠越えが必要な場所もあります。万が一の時の責任みたいな話になった時に、誰が責任とれるんだと。考えれば考えるほど、ネガティブなことばっかり考えてしまうんですが」

　相手がクマとなれば、その「出方」が読めないだけに、悩みはよけいに負のスパイラルに沈み込んでいくようだ。

©JIJI PRESS

練習と実戦が「半分になったとしたら…」

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「この前ね、ある監督さんからこんなこと訊かれたんですよ」

　ベテランスカウトがつぶやいた。

「このままクマ騒動が続いたとして、ここから夏までの練習量と実戦の数が、もしいつもの半分になったとして、ウチの選手、獲ってもらえますか？」

　真っ向からそうきり出されて、返す言葉がなかったという。

「大谷翔平とか、菊池雄星、佐々木朗希……メジャーで活躍するようなスーパースターが出るようになってからはそうでもないけど、その前はわれわれスカウトの評価も東北・北海道の選手たちはワンランク低く見ていた時代がありましたからね。

　本当にこのままの状況が続いて、人間の日常生活が脅かされて、球児たちの学校生活が不自由になったら、評価を下げるというよりも、評価のしようがないという言い方のほうが正しくなってしまうんじゃないですかね」

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