バレーボールPRESSBACK NUMBER
「絶対に浮き沈みある」開幕ダッシュも連敗…VC長野は“SVリーグの序列”を変えるのか? 地元出身レジェンド×若手の融合、問われる「全員バレー」の真価
text by

市川忍Shinobu Ichikawa
photograph bySV.LEAGUE
posted2025/11/28 11:04
44歳松本慶彦(中央)の加入で話題を集めたVC長野トライデンツ
11月23日現在、VC長野は3勝7敗と黒星が先行しているものの、フルセットまで持ち込んだ試合は3試合。優勝候補にも名前が上がる日鉄堺を相手に2連勝でスタートし、第3節の東京グレートベアーズ戦ではゲーム1で32対34、ゲーム2で39対41という激戦を繰り広げた。2018年にチームがトップカテゴリーに昇格し、その後は9位が最高成績だったが、昨年度には初めて10勝を記録。毎年、着実にステップアップしている。
松本は言う。
「若い選手たちは当然、僕のような年齢でプレーしている人には負けたくないと思っているでしょうし、そう思われているなかでスターティングメンバーとして出場するからには、次の日のことは考えず、目の前の試合に集中するようにしています。あまり自分の年齢のことは意識していませんが、若い選手に『なめられちゃいけない』という思いもありますし、反骨心といいますか、この年齢で若手に負けないようプレーしているのが自分の中では楽しいですね」
ADVERTISEMENT
たとえベンチを外れる試合があっても、コート外から大きな声とゼスチャーで他の選手に言葉をかける。どれほどセッターへのボールが乱れても必ず助走をし、囮のためのジャンプを繰り返す。長いラリーのあとには肩で息をする場面もあるが、そんなレジェンドの姿を見て周りの選手が奮起しないはずはない。
「もちろんチームが若いというのもあるのですが、長いシーズンなので、絶対に浮き沈みがある。いいときは放っておいても声が出るので、出せないときに自分がいろいろと声かけを止めないように心がけています」(松本)
24歳工藤有史の成長
松本の加入とともに今シーズンのVC長野を支えているのがアウトサイドヒッターの工藤有史だ。日本代表登録メンバーにも名を連ねた24歳は、ここまで全試合に出場し、チーム2位となる130得点を記録している。
工藤は語る。
「昨シーズンは10勝という目標は達成できましたけど、僕的にはプレーオフに行けてもおかしくないくらいチームが強くなっているという手応えがありました。10勝して“いいシーズン”でもあったし、プレーオフを逃した“悔しいシーズン”でもあった。今年はメンバーが大きく変わって、新しいチームでスタートして、だからこそトライする気持ちを絶対に忘れてはいけないと思っています。『自分たちはチャレンジャーだ』という気持ちを忘れずに練習を続けてきましたし、これからもその思いで目の前の1試合1試合を戦っていきたいです」


