「東大“なのに”すごいね」を超えて欲しい…学生水泳界で大躍進!? “異色の強豪”になった東大水泳部　現役部員が語るリアルは？「今後の課題は…」 

　水野の場合は中学・高校時代から競技の結果が出てしまった分、伸び悩みもある中でモチベーションを上げにくい日々が続いていた。そんな水野のような選手が、「また楽しく水泳ができるんじゃないか」と思えたというのは、まさに押切がコーチ就任以降に力を入れた、部の一体感が向上してきたことの証左でもあった。と同時に、その環境が水に合ったのか、水野は大学1年時に3年間凍り付いていた自己ベストを更新できたという。

　一方で、もちろんまだまだチームとしての課題はある。今季から主将を務めるバタフライの小野七晴（3年）はこう話す。

「男子に比べて女子はまだ実績が少ないんです。私もまだ日本インカレの標準記録が切れていないので、今季はそこを目標に頑張りたいと思っています」

女子も「国公立大学は速い人がいない」を変えたい

ADVERTISEMENT

　小野も高校時代は「県大会レベル」だったというが、入部後に一気に記録を伸ばし、日本インカレの参加標準記録も視野に入るところまで成長してきた。

「正直、特に女子だと国公立大学であまり速い人がいないイメージがあって、それもあって競技はあんまり続ける気はなくて。でも、実際に入ってみるとみんなすごく熱心だし、主体的に記録を伸ばそうとしていて。その雰囲気がすごく良かったんです」

　特に女子選手は高校時代に実績がある選手でも大学で競技を続けないケースが多いのだという。小野は自身をはじめとした女子部員が活躍することで、そういった面々へのアピールにも繋がれば……と考えているそうだ。

今季の東大水泳部競泳陣で主将を務める小野。高校時代は「県大会レベル」から大学で全国大会に手が届くところに　©Keiji Ishikawa

　部の絶対的エースで、今年の日本インカレでは100m平泳ぎで2位に食い込んだ松本恭太郎（4年）は、こんな風に後輩たちへの「激励」を口にした。

「部全体のレベルが上がって、ある程度の結果がでるようになった。でも、じゃあ日本インカレとかの高いレベルの大会で上位を狙えるのかというと、それはまたレベルが全然変わってくるんです」

【次ページ】　「東大“なのに”すごいね」で満足してはダメ