球体とリズムBACK NUMBER
「ゴトウ取材に来たんだ」ベルギー公共放送記者がはるばる国立で熱視線…“191cmの大器FW”後藤啓介20歳とは何者か「綺世さん、ハーランドのように」
text by

井川洋一Yoichi Igawa
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/11/20 17:02
191cmの体躯に、しなやかな身のこなし。20歳のFW後藤啓介には日本だけでなくベルギーなど各国の取材者も熱視線を送る
ミックスゾーンに現れた後藤に近づくと、見上げるような格好になる。
日本代表のフィールドプレーヤーで最も高身長の191cm。表情にはまだあどけなさを残すが、口にする言葉はストイックだ。
「チャンスがあったのに決められなかったのは反省点です。入る時に名波(浩コーチ)さんから(前線は)スリータワーだと言われて、クロスが入ってくればよかったですけど、そういうシーンはあまりなかった。それでも、結果は残していかないと」
ADVERTISEMENT
ここで彼が言った好機とは、90分に日本が敵陣深くで相手を揺さぶってから、遠藤航が出した縦パスに後方から上がってきた板倉滉が受けきれなかったシーンのことだ。近くにいた後藤にラストパスは出ていないので、ハーフチャンスと言っても言い過ぎかもしれない。それでもとにかく結果を残したかったからこそ、そんな場面さえも反省に繋げようとしているのだろう。
「森保さんからは出る時に、しっかりゼロで終わらせようと言われているので、攻守の切り替えは意識していました」
綺世くんのポストや、航基くんの抜け出しを間近で
ガーナ戦は2点、ボリビア戦は3点をリードした状況で投入されたこともあり、攻撃の見せ場は少なく、主にプレスやスペースを埋める守備でチームに貢献した。アピールは「できなかった」と自戒したが、初めての代表合宿で得るものは多かったようだ。
「(初の代表合宿は)めちゃくちゃ楽しかったですね。綺世くんのポストプレーや、航基くんの抜け出しを間近で見れましたし。また綺世くんをはじめ、みんなフレンドリーに話しかけてくれて、いろんな話が聞けました」
同じポジションのライバルでもある7歳上の上田には、特に積極的に話しかけたようだ。ガーナ戦の後には、上田が所属するフェイエノールト・ロッテルダムでロビン・ファンペルシ監督から何を求められているのかを訊いた、と明かしている。早熟の大型ストライカーはスポンジのように、あらゆる良いものを吸収しようとしているのだろう。
18歳時点で“次なるケイン”との報道も
情報が瞬時に共有される今の世界では、極東の国の2部リーグで台頭していた若きストライカーの存在も、すでに欧州に広まっていた。
磐田に所属していた2023年夏の時点で、すでにチェルシーやウェストハム、エバートンといったプレミアリーグ勢が後藤に注目していると報じられ、タブロイド紙やインディペンデント系のメディアでは〈次なるハリー・ケイン〉とか、〈ベンジャミン・シェシュコに通じる〉とか、名だたる長身ストライカーが引き合いに出されていた。
若手をむやみに褒めそやしても良いことはない。それは理解しているが、取材者としてポジティブな刺激を与えたいと思うこともある。

