“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
日本とイングランド、その差って何だ。
U-17W杯で見えた世界最先端の育成。
posted2017/11/01 10:30
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
AFLO
今回のU-17W杯決勝はイングランドとスペインのヨーロッパ対決となり、イングランドの初優勝で幕を閉じた。
実は同大会、決勝戦がヨーロッパ対決となったのは史上初のこと。スペインはこの大会において“上位常連組”だが、そのスペインを5-2で粉砕したイングランドは、これまで一度もベスト4以上に入ったことがなかった。参考までに過去の同大会のファイナリストとベスト4に入ったヨーロッパ各国(※マーク)を紹介する。
1985年:ナイジェリア2-0西ドイツ
1987年:ソ連1-1(PK4-2)ナイジェリア ※イタリア
1989年:サウジアラビア2-2(PK5-4)スコットランド ※ポルトガル
1991年:ガーナ1-0スペイン
1993年:ナイジェリア2-1ガーナ ※ポーランド
1995年:ガーナ3-2ブラジル
1997年:ブラジル2-1ガーナ ※スペイン、ドイツ
1999年:ブラジル0-0(PK8-7)オーストラリア
2001年:フランス3-0ナイジェリア
2003年:ブラジル1-0スペイン
2005年:メキシコ3-0ブラジル ※オランダ、トルコ
2007年:ナイジェリア0-0(PK3-0)スペイン ※ドイツ
2009年:スイス1-0ナイジェリア ※スペイン
2011年:メキシコ2-0ウルグアイ ※ドイツ
2013年:ナイジェリア3-0メキシコ ※スウェーデン
2015年:ナイジェリア2-0マリ ※ベルギー
U-17W杯で0-0、PK戦の末に敗れたが……。
イングランドの躍進は、現在のサッカーシーンにおいて育成年代の重大な変化を意味している。なおイングランドに森山佳郎監督率いるU-17日本代表はフルタイムで0-0、PK戦の末に敗れた。
グループリーグ初戦から最後まで一度も負けず優勝したイングランドを、結果として一番苦しめたのは日本だった。しかし、ただ「日本は惜しかった。イングランドをあれだけ苦しめたのだから、優勝する力があった」という感想だけでこの大会を片付けてしまってはいけない。
日本とイングランドの間には明確な差があった。その差は正直縮まったというより、より広がって行く危険性すら感じる。この結果からはヨーロッパの育成年代における“戦術、戦略的発展スピードの速さ”が見えた。