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佐々木麟太郎20歳の本音「孤独感もプレッシャーもある」ソフトバンク1位指名でも即断せず…スタンフォード大で見えた「野球と学業」人生のプライオリティ
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杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byEakin Howard/Getty Images
posted2025/11/20 11:04
ドラフト会議を前に、将来のビジョンを明かしていた佐々木麟太郎
昨季の打率.269、7本塁打、41打点という個人成績、チームの11勝19敗(&プレーオフ0勝1敗)という結果は満足できるものではなかっただけに、25-26シーズンは真価が問われる。
「スタンフォード大を勝たせられるような選手になりたいです。1年目は途中から失速し始めてしまったので悔しかったですが、来年はオマハ(カレッジ・ワールドシリーズの舞台)に行きたいですね。日本人で行った人はまだいないので、そこに行けるようなプレーができるように頑張りたいです。ケガなく1年を戦い抜き、個人の成績を求めながらもチームの勝利にもこだわり、しっかりやり抜きたいと思っています」
慌てて結論を出そうとせずとも、来年の夏までにはいろいろなことがクリアになっていくのだろう。2年生になった麟太郎がカレッジで大爆発し、来夏のMLBドラフトで大きな注目を浴びる存在になるか。それとも長期視野で考え、まずはNPB=ソフトバンクに入団するのがベストと考えるようになるか。NPB、MLBの両方のドラフトで指名を受けた上で、やはりもう1年、スタンフォード大に残りたいと希望する可能性だってある。ベストのプロ入りのタイミングは2年生終了後ではなく、3、4年の終了時かもしれない。
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これほど多くのオプションがあるのは、麟太郎が野球選手として、そして人間としても、非常に魅力のある存在だからに他ならない。
城島CBOもホレた人間性
「彼は英語も勉強し、学業もしっかりして野球もやらないといけない。これは自分の人生の糧になると前向きに捉えていた。凄く前向きな、いい子だなと思いました」
11月4日、スタンフォード大で麟太郎と直接対面していた城島CBOがそう述べていたのも印象深い。魅力的な人材だからこそ、城島氏も「彼の意思を尊重したい」と思える。前例がないからこそ、周囲の私たちもその行方を楽しみにできる。
「私の今後の行き先で、同じような道を歩む人たちが増えてきたり、減ってきたり、変わってきますよね。そこには嬉しさとプライドはありつつ、リスクも感じながらやっています。(前例がないゆえに)頼れる人もなかなかいないですし、孤独感も多少はあります。プレッシャーもあるかと言われたらありますけれど、だからこそ楽しいですし、自分にそのような負荷がかかるのはいいことだとも思っています」
そう語っていた麟太郎は、異国のカレッジでさまざまなことを学びつつ、野球選手としてもさらなる成長を目指している。今は静かに来シーズンの活躍と、その後の選択を見守るべきなのだろう。どんな方向に進むことになろうと、”道なき道を征く”若者はその時点で悔いのない決断をしてくれるのだろうから。


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