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日本シリーズ第5戦で柳田悠岐に被弾…石井大智“あの外角ストレート”は配球ミスだったのか? 阪神・坂本誠志郎の本音「もう1回戻れるとしたら…」
posted2025/11/20 11:03
阪神の正捕手が今語る、日本シリーズの敗因とは?(インタビュー最終回)
text by

田中仰Aogu Tanaka
photograph by
Kiichi Matsumoto
阪神タイガースの正捕手として、今季のチームを牽引した坂本誠志郎(32歳)。日本シリーズを終えた今、ついに明かすソフトバンク戦の敗因と後悔、そして“あの一球”の真実――。《NumberWebインタビュー全3回の最終回/第1回、第2回も公開中》
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「1球」の選択を配球ミスとするのは難しい
――試合前は実際に先発投手の球を受けるわけですよね。その日の調子を見定めるためにも。
坂本 そうですね。順番的にはバッテリーミーティングである程度プランを立てて、その後に投手のボールを受けます。でも、ブルペンで球を受けてみたら、話していた作戦は実行できそうにないなとか、想定から変わることがほとんどです。
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――具体的なシーンを挙げられますか。
坂本 たとえば才木。試合前はどんどんストレートで押していこうと話し合っていても、球を受けて、相手バッターの反応を見ても、「今日そんなに期待できないな」というときがある。そんな日は、序盤に変化球を増やす。ストレートの球威が戻って来るまで我慢するんです。すると相手チームは、「今日、才木は変化球主体で攻めてきている」と思う。でもこちらは回を重ねてストレートの質が戻ってきたら、当初のプランに戻す、みたいな。そういう切り替えですね。
――すると当然、組み立てながら1試合を作っていく、という意識があるわけですよね。となれば、ある一つの場面における「1球」の選択を配球ミスとするのは難しいわけで。
坂本 キャッチャーをやっている人は誰もがそう考えると思います。あの場面でなぜあの球を選んだか。それは、選択に至るまでの試合の展開、判断の過程があるので。一つの場面を取り上げて「あれは違った」という考え方には、すこし違和感がありますね。

