フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
法廷決着がついた「ワリエワのドーピング事件」に残るナゾ…違法薬物はどこから? 関係者に広がった疑心暗鬼、NHKの取材にコーチ本人が答えたこと
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田村明子Akiko Tamura
photograph byKYODO
posted2025/11/15 17:01
現在はロシアを中心にアイスショー出演などを行っているカミラ・ワリエワ(2025年10月撮影)
トゥトベリーゼの言葉にも説得力があった
もちろん、ワリエワに違法薬物を提供した最大の容疑者として周りから見られているのは、彼女とその周辺チームに間違いない。だが彼女がインタビューでこう語っている。
「なぜロシア選手権で彼女にドーピング剤を与えなくてはならないというんですか。彼女が3位までに入賞しないことなどありえないし、上位3位入賞者は常にドーピング検査をされるのですから。(中略)彼女はいつもクリアで、その状態でシーズンを通して勝ってきていました。なのになぜロシア選手権で禁止薬物を摂る必要があるのか? 何が必要だったというのでしょう」(『栄冠と絶望のリンク』より、抜粋)
なるほどごもっとも、と言いたくなる主張ではある。あの年のロシア選手権で、ワリエワがオリンピックの代表からもれるということはまずあり得なかった。
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それならなぜ、いつ、誰が何のためにワリエワにトリメタジジンを与えたのだろうか。本書の中ではいくつかの可能性について、言及している。
ワリエワ事件とはいったい何だったのか?
CASがワリエワに科した4年間の活動禁止は、もうすぐ終わる。彼女はエテリ・トゥトベリーゼチームの元ではなく、タチアナ・ナフカ・アカデミーで練習を再開する予定と発表された。だがもちろん、ミラノ・コルティナオリンピックにワリエワが出場することはない。個人資格の中立選手として出場が許可されたロシア女子1枠は、彼女の後輩にあたる18歳のアデリア・ペトロシアンが獲得した。
フィギュアスケートにおいて、長年大きな位置を占めてきたロシア。彼らが国際社会のルールに沿って現場に復帰する日は、いつやってくるのだろうか。
再びオリンピックを迎えようとしている今、ワリエワ事件とはいったい何だったのか、という問いは私たちの心に重くのしかかったままだ。

