あの「矢場とん」店員が…なぜドラフト6位でプロ野球へ？ 週末はフルタイム勤務、トレーニングは勤務後の深夜…最速153キロ剛腕の「超異色の履歴書」 

「（王子に入社して）成長させてもらえましたし、充実した濃い1年でした。人としてもそうですし、野球の技術の面でも一段と成長させてくれたのかなと思います。

　ただ……この試合で課題が見えました。今のままではプロで通用するボールはないです。残りの時間はあるので、そこで詰めていけたらと思います」

「クラブチーム出身だからプロになれない訳じゃない」

　それでも王子に入社後にストレートの球威はさらに増し、自己最速を153キロまで伸ばした。アマチュア野球最後のマウンドを有終の美にはできなかったが、九谷がこの1年間で残したものはあまりにも大きい。そして今、独立リーグやクラブチームなどで貪欲にプロを目指す若者たちの大きな指標にもなる。

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「クラブチーム出身だからと言ってプロになれない訳でもないですし、その中の1人に自分がなれたので、こういう選手が増えていけるように。お手本となれるようにやっていきたいと思います」

楽天から6位指名を受けた　©Yuki Suenaga

　来年からはいよいよ野球最高峰の世界へ進む。

　それでもクラブチーム時代から持ち続けてきたがむしゃらは忘れていない。恵まれた環境でさらに成長できたことを胸に、年内の残りの時間は自分を高めるための準備に充てるつもりだ。

　自分の野球人生のピークは、さらに向こうに待っている。そう信じる九谷は、歩むスピードをこの先も緩めるつもりはない。