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あの「矢場とん」店員が…なぜドラフト6位でプロ野球へ? 週末はフルタイム勤務、トレーニングは勤務後の深夜…最速153キロ剛腕の「超異色の履歴書」
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沢井史Fumi Sawai
photograph bySankei Shimbun
posted2025/11/13 06:01
楽天からドラフト6位指名を受けた王子の九谷瑠。1年前に味噌カツで有名な「矢場とん」を退社し、強豪社会人の王子に入団していた
「与えられた環境の中でどれだけやれるかだと思っていたので、(当時の環境に)しんどいというのは特になかったんです。その中でも成長していく……というのは自分で決めていたので。実際にそういう思いが成長に繋がったのは良かったです」
「本気でプロを目指すなら…」矢場とんを退社
24年のオフに「本気でプロを目指すなら」と矢場とんを退社した。
独立リーグでのプレーも選択肢に入れていたが、対戦したことのあった強豪社会人チームの王子の関係者から声が掛かり、25年に同チームに入社することが決まった。
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入社早々から投手陣の柱を担い、5月のJABA九州大会ではMVPを受賞。今夏の都市対抗野球大会では登板4試合で3勝をマーク。予選から合わせると7試合で5試合に登板するなどフル回転した。本大会決勝戦では中盤からリリーフでマウンドに上がり、4回を無失点に抑えてチームに流れを引き寄せ21年ぶりの優勝に大きく貢献。
決勝では最終打者に対しても151キロをマークするなどスタミナの強さも見せつけ、橋戸賞(最優秀選手賞)を受賞した。
10月末からはじまった社会人野球日本選手権では、11月5日の日本製鉄山口戦に7回から登板し、3回を無失点に抑えチームは初戦を突破した。「初戦は難しいとチーム内で話していたので、抑えられてホッとしています」と振り返っていた。

