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あの「矢場とん」店員が…なぜドラフト6位でプロ野球へ? 週末はフルタイム勤務、トレーニングは勤務後の深夜…最速153キロ剛腕の「超異色の履歴書」 

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沢井史

沢井史Fumi Sawai

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photograph bySankei Shimbun

posted2025/11/13 06:01

あの「矢場とん」店員が…なぜドラフト6位でプロ野球へ? 週末はフルタイム勤務、トレーニングは勤務後の深夜…最速153キロ剛腕の「超異色の履歴書」<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

楽天からドラフト6位指名を受けた王子の九谷瑠。1年前に味噌カツで有名な「矢場とん」を退社し、強豪社会人の王子に入団していた

「最初で最後」の日本選手権は…ベスト16

 中2日を経て迎えた2回戦のNTT東日本戦では先発のマウンドに立ったが、4回を投げ7安打4失点で降板。チームは1-6で敗れ、ベスト8入りはならなかった。

「自分が思っていたボールが投げられませんでした。全体的にボールが浮いていて(本来の持ち味である)ストレートとチェンジアップのコンビネーションというのがなかなか発揮できませんでした。そこが打たれた要因だったと思います」

 初回は三者凡退に打ち取ったものの、2回に連打などで3点を失った。3回は3人で打ち取り立ち直ったように見えたが、4回に再び相手打線につかまり、さらに1点を失った。

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「3、4、5番を警戒していましたが……一旦崩れてしまった部分を修正できませんでした」

 夏に続きチームを上位に――という思いは叶わなかったが、王子に入社してからのこの1年間は九谷の野球人生を大きく変えた期間でもあった。

 試合後、湯浅貴博監督は、夏の都市対抗野球大会の優勝を「彼なくしては達成できなかった。次のステージに向けてこの経験をバネにしてもらえれば」と大黒柱を労った。

 ちょうど1年前の今頃、九谷は社会人日本選手権大会を京セラドームのスタンドから観戦していたという。「まさか1年後、こんな風になっているとは思いませんでした」と本人も驚くほどの成長曲線をこの1年間に着実に描いてきた。と同時に、無名だった自分をここまで押し上げてくれた環境に、心から感謝した。

【次ページ】 「クラブチーム出身だからプロになれない訳じゃない」

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