広島にいた“プロ12球団注目の18歳”まさかの進路変更…なぜ？ 監督＆本人が明かす“ある理由”「舞い上がった状態でプロ志望届提出…は避けたかった」

　英数学館（広島）の3年生エース、藤本勇太は高卒プロ志望から一転、なぜ大学進学を決めたのか。

”無名校”の苦悩…プロ野球の学閥

　プロ野球界でまことしやかにささやかれているエピソードがある。

　ある球団がFA移籍で、人的補償が発生するランクの選手を獲得した。相手球団が補償選手として白羽の矢を立てたのは、入団から月日が浅い若手選手。直近のシーズンは二軍で好成績を残し、一軍出場も経験した有望株だっただけに、ネット上には「なぜプロテクトしなかったのか」と疑問を投げかける書き込みが散見された。

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　この若手選手は、プロ輩出数の少ないチームの出身だった。多数のOBが球団に在籍し、今後もドラフト指名する可能性があるような、いわゆる名門チームの出身者を優先的にプロテクトしていった結果、球界内に“同門”が極少だった有望株が網をすり抜けた……という話だ。

　推測の域を出ないが、スカウティングも人脈やつながりが求められる世界である。結びつきが強い名門チームから獲得した選手が、不可抗力とはいえ、コロコロと所属先が変わってしまっては球団とチーム間の信用問題になりかねないのは想像に難くなく、避けたいのは事実だろう。

　いずれにせよ、球界内に母校を同じくする存在がいるだけで心強いし、その指導者が同門であれば、若い後輩は目を向けられやすいのが自然だろう。人間の自然な心情である。

　プロは己の腕一本で成り上がれる世界だ。とはいえ、人が人を評価する以上、純粋な“横一線の競争”などは半ば幻想とも言える。煌びやかな世界であると同時に、最も過酷な競争社会に飛び込む教え子に、周囲が目を掛けてくれる“後ろ盾”となる経歴や人脈を持たせたいと思うのが親心だろう。

「大学野球ほぼ知らなかった」

　藤本の恩師で英数学館の監督、黒田元(もと)が抱いたもう一つの懸念が、教え子の視野を広げ切れていないという思いだ。黒田が言う。

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