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プロ全12球団が視察した18歳「夏まで高卒プロ志望」が一転…“異例決断”「超有望ドラフト候補はなぜ志望届出さなかった?」監督が明かすウラ側
posted2025/11/13 11:00
プロ全球団が視察に訪れていた英数学館・藤本勇太(18歳)
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井上幸太Kota Inoue
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Kota Inoue
支配下、育成で総勢116人の選手が指名された、2025年のドラフト会議。北は北海道、南は沖縄まで、指名選手たちの所属先・チームを抱える地域は祝福ムードに包まれた。
しかし、中国地区にだけは一度も歓喜の瞬間が訪れなかった。高校から社会人まで、いずれも指名漏れに終わるという厳しい結果だった。
プロ志望届を提出した高校生は1選手のみ。他地区に比べて対象選手が少なかった事情もある。だが、“あの選手”がプロ志望を掲げていれば、違った結果になっていたに違いない。
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今春以降、中国地区のドラフト戦線をにぎわせていた、英数学館の藤本勇太(18歳)である。
高3夏まで「プロ志望」だった…
身長177センチ、体重75キロの体格は、ドラフト候補と呼ばれる右投手としては平均的だ。だが、鋭い腕の振りから繰り出す最速149キロの直球は切れ味抜群で、今春は並みいる強豪を下し、英数学館を創部初の広島王者に導いた。プロ全球団が視察に訪れ、夏直前の島根遠征では複数球団がスカウト部の上席帯同で目を光らせ、今夏の広島大会には9人体制で駆け付けた球団もあるなど、指名有力候補として注目された。
スカウト陣の評価だけでなく、本人が持つ強烈なプロ志向もまた、藤本を有力候補たらしめた。3年春にブレイクを果たす前から目標が「高卒プロ入り」と明言し、練習の一環として記入する目標達成シートには、競合1位で指名されるように「ドラ1 5球団」という大願をためらいなく記入した。
高校最後の夏は県3回戦で広島商に2-4で敗退。試合後、報道陣から進路を問われた藤本は、こう言い切った。
「プロをずっと目指してきて、(高校野球が終わった今も)それは変わりません。志望届を出しますし、そこ(プロ入り)に向かってやるだけです」


