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「ドジャースとWS対決」は叶わずも…“メジャー未経験”福田秀平がMLBコーチ1年目で見た景色「俺たちは家族なんだ」ミーティングで震えた24歳の言葉
text by

田中大貴Daiki Tanaka
photograph bySankei Shimbun
posted2025/11/14 11:04
今季シアトル・マリナーズの特任コーチを務めた福田秀平(36歳)
福田 アメリカの食事はまったく苦にならない。毎日ハンバーガーでもOKです。カリフォルニアに行った時はイン・アンド・アウト(・バーガー)を食べるのが楽しみで。シアトルにはないですから(笑)。
マリナーズの食事は素晴らしい
――カテゴリーによって食事も違いますよね?
福田 T-モバイルパーク(マリナーズの本拠地)の食事は素晴らしい、“神”ですよ。フレッシュな魚、肉もポーク、チキン、ビーフとなんでも。マリナーズだけかもしれないですけどジャーで炊かれた白いご飯も出てきます。クラブハウス内にはスターバックスのコールドブリューが出てくるマシンもあって、コーヒー何杯飲んだかなっていうぐらい。メジャーの環境は最高で、いつも試合中トイレばっかり行ってます(笑)。
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――シアトルで飲むスターバックスは美味しいんですよね。体型維持も大変ですね。
福田 マイナーのコーチは選手と一緒にトレーニングをするので大丈夫です。そこは日本とちょっと違うなと思っていて。スプリングキャンプの時に「選手vsコーチ」でスローイング対決みたいな練習もあったんですが、そのメンバーがすごいんですよ(笑)。センターにフリオ・ロドリゲス、レフトにランディ・アロザレーナ、ライトはビクトル・ロブレス。コーチチームはイチローさんがライトで、僕がレフトです。すごいですよね。バッティング練習でも守備につくので、身体は今も動かせていますね。
――ともにプレーすることも指導の一環なのでしょうね。この1年、コーチングで大事にしたことはありますか?
福田 あるコーチに教えてもらった「brick by brick」という言葉をすごく大事にしてきました。大きな家もレンガを1個1個積み重ねてできている。英語の習得も、指導の経験も、何事も積み重ねが大事ということを意識していたので、選手たちにも伝えていました。野球も同じだよと。
――イチローさんの言葉にも通じますね。さて、気になるのは来年以降の動き方です。
福田 来年のことはまだ決まっていません。まずはドバイ(中東初のプロ野球リーグのベースボール・ユナイテッド/ミッドイーストファルコンズの一員としてプレー)からオファーをいただいたので、そこで「選手」として参加しようと思っています。この1年間で学んだ新しい技術、新しい考え方、加えてイチローさんから教えていただいたことを一度、自分に落とし込んでみたいと思ったんです。9試合の参加なのですが、まずは自分を実験台にしていろいろ試してみようかなと。それこそ、今年流行った「トルピードバット」なんかも使ってみようかなと思っています。自分で経験して、来年それを選手たちに伝える。それが直近のビジョンですかね。
――スカウティングの仕事も楽しみですね。
福田 そうですね。NPB選手のスカウティングも業務の一つで、実際に市場で噂になっている選手のレポートを球団に提出しなければいけません。そういう意味でもメジャーのレベル、リーグの構造を見られたことは自分にとって大きい1年間でした。
――来年も期待しています。〈前編から続く〉

