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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「佐々木麟太郎ではない…」NHK解説者が一番驚いたドラフト1位指名「外れ外れ1位で彼にいくとは…」「日本ハムのスカウトはよく見ているよ」「本人からLINEがきた」
text by

遠藤修哉Naoya Endo
photograph byJIJI PRESS
posted2025/11/12 11:25
西武からドラフト1位指名を受けた明治大の小島大河(右)と日本ハムから1位指名された同大・大川慈英
「まだ体が細い。1年間を通してローテーションを守ったり、リリーフでフル回転したりする体力は、今の彼にはない。プロの世界は甘くないですから、まずはしっかりと体作りをしないと故障にも繋がる。プロで活躍できるパワーピッチャーは、みんな体が大きくてなおかつ幅がある。彼は食が細いところもあって、『あと10kgは体を大きくしないと、1年間は持たないぞ』と言い続けてきたんだけど、まだまだだね」
食べることもトレーニングの一環であり、「食うのがプロ野球選手の仕事」というのが武田氏の持論だ。自身も現役時代は172cm・80kgと決して大柄ではなかったが、徹底した自己管理で長く第一線で活躍した。その経験があるからこそ、ポテンシャルを秘めた若者たちに、フィジカルの重要性を繰り返し説いている。
「俺の現役時代を考えれば、よくあの体で1年間持ったなと思うよ(笑)。でも、大川にはもっと高いポテンシャルがある。体が大きくなれば、球速も150キロ後半まで伸びる可能性は十分にある。まずはしっかり“食べ込んで”、プロで戦える土台を作ることが何よりも重要だよ」
「流す技術がない」ドラ2投手にアドバイス
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この「体力」という課題は、同じく明治大から千葉ロッテに2位指名された毛利海大投手にも共通するという。
「毛利もそう、彼もまだ1年間戦える体力はない。体づくりに、2、3年はかかるでしょう。それに加えて、彼は流すところを流す技術がないから、1番から9番まで同じ力の入れ方で投げてしまう。自分より格下の打者にそんなに一生懸命投げる必要あるのかって、俺はいつも言っている。相手を見て投げるピッチングをしないと、プロでは5イニングももたないですよ。そう言うと、本人は『先発にはこだわっていない』と返してくるんだけど、指名時のインタビューでは『ローテーションに入りたい』って言ってたね(笑)」
そんな明治大のドラ1、ドラ2投手を正捕手として支えた小島大河は、西武に1位指名された。4季連続打率3割の巧打者は、近年の西武のチーム課題である「正捕手不在」を埋める存在としても期待が大きいという。
「西武はここ何年もバッティングが弱いし、しかも打てて140試合出られるキャッチャーを求めていたはず。ドラフトの前日に練習に行ったから、ブルペンで小島ともしゃべりました。『プロは凄いぞ。プロのキャンプ初日で面食らわないように準備しとけ』と言っておいたよ」
“武田コーチ”がLINEで直接Q&A
武田氏の指導は、グラウンドでの技術指導だけにとどまらない。投手コーチとして、選手たちとはLINEで密にコミュニケーションを取り、彼らの悩みや疑問に答えているという。そのツールは現代的だが、伝えるメッセージは経験に裏打ちされた、熱く、そして厳しいもの。


