日本シリーズ「とにかく今日決める」ソフトバンク・小久保裕紀監督が短期決戦で積極姿勢を出せたワケは“反省”「去年の負けがあったから」 

　2連勝で迎えた第3戦で相手エース・東克樹の好投に打線が沈黙すると、果敢な攻撃に劣勢を強いられ、試合の主導権を握られた。DeNAはオーダーを変え、メンバーを変え、試合のギアを上げてきた。開幕の2連戦でうまくいっていた、序盤の攻撃が止められたソフトバンクは脆かった。

　第4戦、相手先発のアンソニー・ケイの好投でタイに持ち込まれる。第5戦ではなんと、DeNAが初戦で先発したアンドレ・ジャクソンを中4日で投入し、またも序盤の攻撃を止められたソフトバンクには、なす術がなかった。

「大きく構えた采配」からの変化

　日本シリーズ初采配となった昨年の小久保監督は、終始大らかな指揮を展開した。ペナントレースのように大きく構える。これだけの戦力なら、そのうち機能するようになるだろう。そうしてペナントを制していたから、その姿勢を貫いた。それは完全に後手だった。

ADVERTISEMENT

　2025年の日本シリーズでは、それがなかった。象徴的だったのは、第4戦の6回表の攻撃だ。

第4戦、6回に早くも切り札・近藤が代打に送られる　©Nanae Suzuki

　ソフトバンクは2回表に、4番の山川穂高の3試合連続となる本塁打で1点を先制。過去2試合は、ほとんどインコース勝負にこなかった阪神バッテリーが、新たな配球パターンを見せてきたところ、やや中に入った球を見逃さなかった。「僕は配球を読んでいくタイプのバッターではないので」と山川はいったが、痛烈な一発だった。

　5回表には1死満塁から柳町達の右翼犠飛で1点を追加。先発の大津亮介はチェンジアップを駆使した立体的なピッチングで阪神打線を翻弄し、2−0と優勢で試合の半分を終えていた。

　そして6回表だ。1死から牧原大成が内野安打で出塁、犠打で二進の後、ピッチャー大津の打席を迎えたのだが、ここで小久保監督は代打に近藤健介を送った。

【次ページ】　6回に早くも切り札・近藤を起用