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「勝っていても負けていても石井大智」阪神・藤川球児監督に手痛い教訓…日本シリーズ初采配で漏らした“昨年の小久保裕紀監督と同じ発言”の落とし穴
posted2025/11/08 18:00
日本シリーズの勝敗を分けたポイントを両チームの采配から読み解く。藤川監督のマネジメントに見えた問題点とは?
text by

氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
Nanae Suzuki
日本シリーズ、阪神が1勝3敗と後がなくなって迎えた第5戦のベンチ入りメンバー表を見て、ビジョンが崩壊している、と感じてしまった。
先発投手たちがベンチ入りしていた
前日2回を投げた桐敷拓馬、シーズン40試合に登板していたリリーバーの湯浅京己が外れ、この試合に勝てば6、7戦の先発が予想された村上頌樹、才木浩人の名前があったからである。
短期決戦における先発投手のスクランブル登板はよくある話だ。メジャーリーグのワールドシリーズでも、ドジャースやブルージェイズが先発投手を次々リリーフ登板させたのは記憶に新しい。ただ、そこには一種の法則性がある。それは「この後の先発予定がない投手」ということだ。
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確かに阪神は、この日負ければ次はない。しかし、先発予定の二人を起用してしまえば、この日は勝つことができても、次をどう戦うのか。日本シリーズにおける藤川球児監督の采配には、そうしたビジョンが全く見えなかった。
石井大智への高い依存度
それは、シリーズの初戦から絶対的リリーバーの石井大智をイニングまたぎさせたところからも感じられた。“リリーバー”と表現したのは、シーズン50試合連続無失点記録を樹立した絶対的な存在でありながら、起用法が固定されていないからでもある。石井への依存度が高いのは明らかだった。
昨今の球界ではリリーバーの健康への配慮がなされてきていると感じる。藤川監督自身が経験してきた、炎のような連投は2日ほどに抑えられ、球数の管理も緻密。野茂英雄のメジャー挑戦以降、先発投手の球数が100球前後で抑えられるようになったのと同様、リリーフも短期決戦を除いては3連投回避が当たり前になってきている。

