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「休む選択肢もあった」渋野日向子が明かす“日本スポット参戦”の理由「全部予選落ちしてたら、心がやられていたかも…」4週間で“信じるモノ”は見つかったか 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph by Atsushi Tomura/Getty Images

posted2025/11/07 11:01

「休む選択肢もあった」渋野日向子が明かす“日本スポット参戦”の理由「全部予選落ちしてたら、心がやられていたかも…」4週間で“信じるモノ”は見つかったか<Number Web> photograph by  Atsushi Tomura/Getty Images

国内ツアー4連戦を振り返った渋野日向子。来季の米ツアー出場権に向けて、いよいよ正念場を迎えた

 最初のスタンレーレディスで予選落ちし、翌週から富士通レディースで40位、マスターズGCレディースで47位。「心がやられ」かねない状況で、最終戦となった樋口久子 三菱電機レディスを13位で終えた。

 同大会では週末に2日続けて5バーディ67をマーク。「これだけ安定してゴルフができたのはすごく久々だった。この2日間はたぶん、ことしで一番良いゴルフができたんじゃないかと思えるくらいの内容」と振り返った。

 突然変異が専売特許のようで、彼女はそうなる時をのうのうと待っていたわけではない。今シーズンも米国の練習場で笑顔なく打ち込み、抱え込んだ頭を冷やすように、無言でひとりドライビングレンジを離れる瞬間も一度や二度ではなかった。

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 これまで渋野は、“信じるモノ”を携えた時にこそ力を発揮してきた。「コレだ」と思った技術や動き、道具といった新しいエッセンスの長所を自分なりに解釈し、研鑽に励んだ時期に、それまでの不調がウソだったかのようなプレーを見せる。

来シーズンの職場を懸けた戦い

 今回の一時帰国中、渋野は目下の課題のひとつであったパッティングを改善するため九州の指導者のもとを訪れた。日本の4試合では新しいパターを握り、それに伴ってセットアップの流れも変えた。左手でボールをセットし、シャフトを利用して打ち出しの狙いとラインを丁寧にそろえる。打つ前の素振りは2回から4回。もともとプレーペースが速いタイプだが、グリーン上で少し時間をかけるようになったのも目に見えた変化だった。

 4連戦を終えて、「いろいろ試行錯誤しながらこの4試合もやってきた。1年間(同じように)やってきましたけど……。でも一番、なんだろうな……『次も頑張れそうだ』って思える終わり方だったと思います」と言った。スコアメークとは別のところで、集中力を向けられる先が見つかった。信じるモノが注入された今回のタイミングは絶妙だったようにも思える。

 来シーズンの職場を懸けた最後のレースが冬の米国で始まる。ビハインドを負った状況には変わりない。ただそれでも、挑戦しない人には失敗も成功も訪れない。その原理だけはいつ、どこでプレーしても変わらない。

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#渋野日向子

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