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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「ある意味、ギャンブルです」全日本大学駅伝で駒澤大が快勝できた戦略の“前提条件”とは「エース佐藤圭汰の復帰でできた、攻めの配置」
text by

佐藤俊Shun Sato
photograph byTadashi Hosoda
posted2025/11/06 17:55
「山川」コールのなか、トップで伊勢路のゴールテープを切った駒澤大の主将、山川拓馬
全日本前には7区の17.6キロを400m69秒のペース、1キロを2分50秒で押していき、50分ぐらいで走れる練習が出来ていた。2022年に田澤廉が区間記録(49分38秒)を出したときは追い風だったが、佐藤も気象条件次第では、そこを狙えるところまで仕上がりつつあった。実際、提示された設定タイムもそのタイムに近いものだった。
佐藤の復帰が可能にした「攻めの中盤」
レース前は佐藤曰く「70%ぐらいの状態」だったが、それでもその存在自体が脅威になる。区間配置が発表されると、「7区、佐藤圭汰??」とSNS上で駅伝ファンがどよめくほどだった。ハイレベルの当て馬で本当は伊藤が走るのではないかという声もあったが、前日会見で藤田監督が大エースの出走について言及し、7区佐藤がリアルになることが分かった。佐藤が走ることで、駒澤大の前評判が一気に右肩上がりになった。
藤田監督は、この戦略には佐藤が欠かせなかったという。
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「伊藤を中盤の5区に置けたのは、圭汰が戻ってくることを前提にしたものです。彼が戻ってこなかったら、伊藤を7区に置くしかなかった。それだと、中盤は耐える区間になっていたでしょうね。今回、優勝することができたのは、圭汰の復帰によって攻めの中盤という配置ができたからです」
この策が見事にハマった。
一時は4位に後退するも……
4区の安原は、3区の帰山侑大(4年)からトップで襷を受けるも中央大、国学院大、帝京大に追い抜かれ、4位に後退してしまった。
「凡走でした。トップを維持するぐらい戦わないといけなかったんですが、内臓にきてしまって……。うしろの伊藤さんに負担をかけてしまい、村上にも助けられました。上級生としてこの走りでは厳しいので、上尾ハーフでしっかり立て直していきたいと思います」
安原は、申し訳なさそうな表情で、そう言った。

