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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「ある意味、ギャンブルです」全日本大学駅伝で駒澤大が快勝できた戦略の“前提条件”とは「エース佐藤圭汰の復帰でできた、攻めの配置」
text by

佐藤俊Shun Sato
photograph byTadashi Hosoda
posted2025/11/06 17:55
「山川」コールのなか、トップで伊勢路のゴールテープを切った駒澤大の主将、山川拓馬
藤田監督は、主力の伊藤蒼唯(4年)を当日変更で5区に投入した。4区の安原海晴(3年)は3週間前の出雲の記録会で2位、前年の全日本は6区3位。6区の村上響(3年)は前年5区5位で走っており、ともに十分戦える目処がついていた。5区をストロングポイントにして、“つなぎの中盤”から“攻めの中盤”に戦略を変更したのだ。
戦略変更の前提条件とは?
だが、この区間配置を実現するためには、ある重要な前提条件があった。
それが、佐藤圭汰(4年)の復帰である。
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佐藤は、7月の日本選手権前に、昨年も苦しんだ恥骨の故障に苦しみ、夏にほとんど練習ができなかった。
「正直、戻ってくるまでキツかったです。今回も昨年と同じところで、もう3回目だったので、治らなかったらどうしようって、すごく不安な気持ちでいっぱいでした。実際、完全に違和感なく走れる状態にいくまで、すごく時間がかかってしまったんです。それでも治療を進めて、9月中旬からようやく練習を始められたんです」
10月の出雲駅伝が終わると、全日本大学駅伝のエントリーメンバーを提出するが、その時点では佐藤は練習に復帰したばかりで、全日本を走れるかどうかわからない状態だった。「いけるかもしれない」という見込みでエントリーだけ済ませ、全日本は状況次第になった。
「もう賭けみたいなもんでした。ある意味、ギャンブルです(苦笑)」
7区での駅伝復帰
だが、10月中旬にポイント練習で20キロ、26キロを走った。いい感じで走れたが、いつものスピードを回復するまでにはいかなかった。その時、大八木弘明総監督と藤田監督から伝えられたのが、7区での起用だった。
「本当なら4区、5区、6区とかに行きたかったんですけど、まだスピードが戻らなかったので、走るんなら7区だと言われました。出雲では走れずにチームに貢献できなかったですし、全日本ではなんとか間に合う感じだったので、走って優勝に貢献するという気持ちでずっと過ごしていました」

