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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「ある意味、ギャンブルです」全日本大学駅伝で駒澤大が快勝できた戦略の“前提条件”とは「エース佐藤圭汰の復帰でできた、攻めの配置」
posted2025/11/06 17:55
「山川」コールのなか、トップで伊勢路のゴールテープを切った駒澤大の主将、山川拓馬
text by

佐藤俊Shun Sato
photograph by
Tadashi Hosoda
全日本大学駅伝のゴールエリア。
トップで駆けてきたアンカーの山川拓馬(4年)が見えてくると、「やまーかわ!! やまーかわ!!」という明るい掛け声が一層、大きくなった。山川は、両手を挙げてフィニッシュすると、そのまま倒れるように仲間に抱きかかえられた。
駒澤大、2年ぶり17度目の優勝だった。
出雲「惨敗」からの圧勝劇
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レースは、2位の中央大に2分01秒の差をつけての圧勝だった。3週間前の出雲駅伝は、今季の目標である3冠達成の第一歩として獲りにいったが、「惨敗」の5位に終わり、危機感を覚えた。だが、全日本ではさまざまな不安を取り払って、攻めの勝ち戦を見せ、かつ箱根駅伝に期待を抱かせる内容になった。
なぜ、駒澤大は強い駅伝を見せることができたのか。
優勝できたのは全員がミスなく、区間5位以内でしっかりと走れたことが大きいが、さらに2つの要因があった。
そのひとつが、戦略だ。
藤田監督が語った区間配置の意図
決戦前夜、藤田敦史監督は、リリースされた区間配置について、こう語った。
「今回、意識したのは、4区、5区、6区の中盤です。その区間は、従来うちでは7、8番目の選手を使う区間なんです。でも昨年、国学院大が、5区の野中(恒亨)君、6区の山本(歩夢)君で流れを変えて一気に上がっていったんですよ。
うちもそこをしのぐことができましたし、後半区間には篠原(倖太朗)、山川を置いていました。でも、前半と中盤であれだけ離されてしまうと、いくら7区、8区にゲームチェンジャーがいると言っても勝てない。じゃどうやったら全日本で勝てるのか。1区、2区、3区は、どこの大学もそれ相応の選手を置いてくるので、そんなに差がつかない。逆に一番差が出るのが4区から6区なので、そこに誰を置けるのかで差が出てくる。そこから今回の区間配置を考えました」

