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ワールドシリーズMVP山本由伸「衝撃の235球」古巣の仲間たちはどう見た?「(オリックスなら)投げさせない」「ずっと優勝…チームの空気感を作る天才」 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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posted2025/11/06 11:06

ワールドシリーズMVP山本由伸「衝撃の235球」古巣の仲間たちはどう見た?「(オリックスなら)投げさせない」「ずっと優勝…チームの空気感を作る天才」<Number Web> photograph by Getty Images

山本由伸がワールドシリーズMVPを獲得。日本最高の投手が、世界最高の投手に…

 かつて日本ハムで投手コーチとして大谷翔平の二刀流を支え、2022年からはオリックスの投手コーチを務めている厚澤和幸はこう語る。

「由伸は、ずっと優勝してるでしょ? ガッと彼のスイッチが入った時に、チームがパッとまとまる。そういう空気感を作る天才だと思うんです。じゃなきゃ、ずっと優勝しないと思います」

厚澤コーチが語る“大谷と山本の共通点”

 山本はオリックスの絶対的エースとして、2021~23年のリーグ3連覇に貢献し、侍ジャパンでも21年東京五輪、23年WBCで世界一に輝いた。23年のオフにポスティングでドジャースに移籍すると、24、25年にワールドシリーズ連覇を達成。5年間優勝し続けている。WBCでも投手コーチを務めた厚澤はこう続ける。

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「彼の投げている姿だったり、チームを鼓舞する姿というのは、翔平と似たところがあると思います。あの2人は、チームを優勝に導く姿の見せ方ができる。実力はもちろんなんですけど、やっぱりチームスポーツなので、みんなが一丸となる雰囲気作りも重要です。(ドジャースは)それができる選手が2人いるわけですから、そりゃあ強いですよ。中何日とか、前の日に何球投げたとかいうことも度外視して、自分が何をしたらチームが一つになれるかをわかっている選手だと思います」

 まさに“度外視”したワールドシリーズだった。山本は、第2戦で105球を投げて完投勝利を収めながら、中1日で迎えた第3戦では、延長戦が続く中ブルペンに向かい、19回からの登板に備えた。そして第6戦で先発し6回96球を投げた翌日の第7戦では、9回1死一、二塁のピンチでマウンドに上がり、11回まで無失点でしのぎきった。自身を顧みずブルペンでチームのために肩を作る姿は感動を呼んだが、ハラハラもさせられた。

仮に同じ条件でも「投げさせないと思う」

 日本では延長戦が12回までと制限されているのに対し、メジャーリーグのポストシーズンは回数制限がなく決着がつくまで行うという違いはもちろん大きい。ただ、仮に同じ条件だったとしても、オリックス時代なら、当時の中嶋聡監督、厚澤投手コーチが投げさせないのではないか。

「投げさせないと思います」と厚澤は言う。

【次ページ】 投手王国再建へ…“由伸2世”は?「います」

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