箱根駅伝PRESSBACK NUMBER

「学生には重すぎるな…」ある“箱根駅伝の伝統校”監督が呈した「連続出場記録」へ苦言のワケ…「11番と言われた時のコメントも考えていた」 

text by

涌井健策(Number編集部)

涌井健策(Number編集部)Kensaku Wakui

PROFILE

photograph byYuki Suenaga

posted2025/11/05 06:01

「学生には重すぎるな…」ある“箱根駅伝の伝統校”監督が呈した「連続出場記録」へ苦言のワケ…「11番と言われた時のコメントも考えていた」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

10月の予選会で9位に入り本選出場を決めた日体大の玉城良二監督。一方で近年、チームの枕詞に使われる「連続出場」には苦言も呈した

 トラックシーズンと夏合宿の手応え、「三本柱」へと成長した4年生3名の関係性、都大路で2年連続準優勝した長野東高校から日体大監督への転身理由などを聞いた約40分のインタビューの最終盤、ともに取材をしていた黒川麻希さんが「玉城監督の教育への熱って、どこからくるんでしょうか?」という質問を投げかけた。

「なんですかね。それぞれの仕事って、やりがいとか、喜び、達成感を感じる瞬間があると思うんですね。それがあるとやめられないですよね。僕らの仕事は、子どもたちが成長したなという場面を見られたり、その時間を共有できたりするのがそれなんです。だからこそ、やめられないのかな、と。いや、やめられないというのは違うか、私は監督、いつ辞めてもいいんですけど(苦笑)」

「監督」である前に「教育者」である姿勢

 玉城良二という駅伝監督は、教育者なのだ。

ADVERTISEMENT

 もちろん競争が激化する大学駅伝の世界でチームに結果を残すための「勝負師」の側面だってあるだろう。大学当局やメディア、スポンサーなどと関係を構築していく「管理職」としての一面もある。

 多くの監督は、それぞれの側面を人格の中で併存させているが、玉城監督を取材していて感じるのは、他の側面を大きく上回る「教育者」としての静かで、確固たる熱だった。

 そういえば、夏合宿での取材時、選手も、マネージャーも玉城監督のことをこう呼んでいた。

「玉城先生」

 無数の感情が交錯する箱根駅伝予選会。これから「連続出場」という形容詞を使わないようになる、ということはない(現にこの原稿でも使っている)。でも、玉城「先生」の言葉に一つの問いを突きつけられ、教えられた気がする。

 君は自分の頭で考えて、言葉を使っているか、と。

#1から読む
「陸上をやめちゃう選手も出てきちゃう」箱根駅伝予選会後に聞いた“衝撃の発言”…ある伝統校の監督が語った懸念のワケは?「並大抵のもんじゃない」

関連記事

BACK 1 2 3 4
#日本体育大学
#玉城良二

陸上の前後の記事

ページトップ