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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
「ドジャースナインは“開き直らなかった”」ワールドシリーズの勝因をNHK解説者が読む「大谷翔平の申告敬遠を初めて得点につなげた場面から…」
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小早川毅彦Takehiko Kobayakawa
photograph byGetty Images
posted2025/11/03 17:51
ドジャースがまれに見る名勝負を制する立役者となった日本人3人衆。ポストシーズンを解説しつづけてきた小早川氏が見た勝利の要因とは
両チームの全選手が総力をぶつけ合った名シリーズ
過去には数多の名シリーズがありましたが、今年のワールドシリーズは本当にドラマに満ちていて、しかも、一部のスーパースターが超人的な活躍を見せるのみならず、両チームの全選手が、自分を犠牲にしてチームのためにプレーしていることがひしひしと感じられました。試合にあまり出ていない選手、ドジャースならキム・ヘソン選手やベン・ロートベット捕手といったメンバーも、目には見えにくくても、それぞれに重要な役割を果たしていました。
まさに総力と総力のぶつかり合い。敗れたブルージェイズのチームリーダー、ゲレーロJr.選手がベンチで涙を流していた姿はその象徴だったと思います。どんな激戦でも、やはりメジャーリーガーが負けて涙を見せるのは異例なことですから。
言葉の見つからないシーンの連続
今年は私も、ワイルドカードシリーズからドジャースの戦いをアメリカで現地解説してきました。ワールドシリーズは日本で観戦しましたが、とにかく信じられないようなことが次々起きるポストシーズンでした。想像もつかないことが目の前で起きるといいましょうか。
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解説者としては、それを言葉にしてお伝えしないといけないんですが、もう言葉が見つからないんです。「すごい」としか言いようがないシーンがいくつもありました。私も来季に向けて、何か「すごい」を超える表現力を磨いて、新しい日本語を発見しないといけませんね(笑)。
優勝したドジャースは来季、全30球団で唯一、3連覇に挑む権利が与えられます。今季以上に困難な挑戦になるでしょうが、本当に楽しみですね。そして日本人選手3人も、二刀流としてドジャースで初めてのフルシーズンに挑む大谷選手、名実ともにエースとして初めてシーズンを迎える山本選手、今度こそ先発として力を示す1年にしたい佐々木投手と、それぞれに新たな挑戦の年になると思います。
いや、そう考えると、終わったばかりなのにもう、野球がないのが寂しいですね。また早くシーズンが来てほしいな、という気持ちでいっぱいです。来季も一生懸命お伝えしますので、読者の皆さん、またお会いしましょう!
〈全2回の2回目/はじめから読む〉

