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「ドジャースナインは“開き直らなかった”」ワールドシリーズの勝因をNHK解説者が読む「大谷翔平の申告敬遠を初めて得点につなげた場面から…」
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小早川毅彦Takehiko Kobayakawa
photograph byGetty Images
posted2025/11/03 17:51
ドジャースがまれに見る名勝負を制する立役者となった日本人3人衆。ポストシーズンを解説しつづけてきた小早川氏が見た勝利の要因とは
大谷の敬遠を初めて得点に結びつける
ここでこのシリーズで初めて、大谷選手の申告敬遠を得点につなげられたんです。第3戦の4連続申告敬遠をはじめ、それまでブルージェイズの大谷選手敬遠作戦がずっと成功していたなかで、これは大きかったと思います。
さらに第7戦では、同じラインナップで臨んだ結果、9番のロハス選手があと2アウトで敗戦という9回に値千金の同点ホームラン、スミス選手が山本選手の力投に応える勝ち越しホームランを11回に放ったんですから、このロバーツ監督の決断は大当たりでした。
一発攻勢が威力を見せた第7戦
結果から言えば、第7戦は、8回のマックス・マンシー選手の追撃弾、9回のロハス選手の同点弾、11回のスミス選手の勝ち越し弾というソロホームラン3発で勝ちました。8回以降、この3本塁打以外のドジャースのヒットは1本でした。同じ8回以降にブルージェイズはヒット3本、四死球3つで出塁していますから、むしろドジャースよりも塁上を賑わしていたんです。
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そこでドジャース側はスネル、山本両投手が際どくしのいで失点を防ぎましたが、ホームランの失点は防ぎようがありません。ここまで、空振りしない粘りとつながりでずっと攻め立ててきたブルージェイズ打線でしたが、最後の最後にドジャース打線の一発が威力を見せたと言えるでしょうね。
とはいえ、ブルージェイズはこの7戦を通じて、非常にまとまったいいチームであることを示してくれました。第1戦ではファウルで球数を投げさせてスネル投手を攻略しましたし、第7戦では変化球の制球がややばらついていた大谷投手に対して、あえてファーストストライクを待って有利なカウントを作るという作戦で、想定より早くマウンドから降ろさせました。しっかりと対策を練って実行できる、つながりのある打線でした。

