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「ドジャースナインは“開き直らなかった”」ワールドシリーズの勝因をNHK解説者が読む「大谷翔平の申告敬遠を初めて得点につなげた場面から…」
posted2025/11/03 17:51
ドジャースがまれに見る名勝負を制する立役者となった日本人3人衆。ポストシーズンを解説しつづけてきた小早川氏が見た勝利の要因とは
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小早川毅彦Takehiko Kobayakawa
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Getty Images
まれに見る激戦になったワールドシリーズ。山本由伸投手をはじめとするドジャース投手陣の奮闘から、打線にも目を向けてみましょう。デーブ・ロバーツ監督も再三発言していたように、大谷翔平選手の前にランナーを出す、つながりを出すということが、ドジャース打線の課題でした。これは、レギュラーシーズンの序盤に、大谷選手のホームランの多さのわりに打点が少ないという「下位打線問題」を私が指摘したときからずっと続いている問題でもありました。
土壇場での打順組み替え
なかでも、レギュラーシーズンでは27本塁打を打ったものの、ポストシーズンではなかなかヒットの出なかった9番打者のアンディ・パヘズ選手を、ロバーツ監督が第5戦でついにスタメンから外したことは大きな決断だったと思います。ただ、このときにパヘズ選手の代わりに先発したアレックス・コール選手の起用については、私はやや疑問に思っていました。
NumberWebでもお話ししましたが、彼は守備固めや代走、左投手相手の代打として、ゲームの途中から出場して役割を果たせる選手です。ただスタメンとしてはどうなのか、と考えていたところ、やはりというべきか、第6戦からは9番にベテランのミゲル・ロハス選手を先発させてきました。
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そして、1番・大谷選手のあとの打順も、2番に好調のウィル・スミス捕手、3番にフレディ・フリーマン選手と入れかえて、シーズン中ずっと2番を務めていたムーキー・ベッツ選手を4番に下げたんです。言ってしまえば、単純に調子のいい人が並ぶように順番を変えたわけです。
それまで大谷選手が敬遠されても、つながりを欠いてホームに返すことができていなかったのが、実際にこの打順にした第6戦の3回、大谷選手の申告敬遠のあとにスミス選手が先制タイムリー、フリーマン選手がフォアボール、そして結果の出ていなかったベッツ選手が貴重な2点タイムリーを放ちました。

