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ホークス柳田悠岐が証言「何なんスかね?」「ホントに奇跡が起きた」阪神・石井大智、なぜ打たれた? ソフトバンクに聞く“石井対策”「あんなの打てないです」の声
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佐藤春佳Haruka Sato
photograph byJIJI PRESS
posted2025/11/02 11:51
日本シリーズ第5戦。8回表、柳田悠岐のツーランホームランで同点に。石井大智が失点したのは57試合ぶりだった
「いい当たりではあったんですけど、センターフライが精一杯だった。それでも、あそこ(インハイ)の球をしっかり引っ張りに行かなければヒットにならないな、と思わせてくれた。イメージの中でずっとあの球がありました」
5日後の第5戦で打ったのは、まさに全く同じインハイへのストレート。待ちに待ったリベンジの1球を、前回対戦よりさらに強くスイングして、ライトフェンスまで運んだのだ。
「さらに引っ張りにいけたのがちょっと長打になった理由だと思います。微調整ですけれど、でもやはりあの第1戦があったからこそ打てたのかなと思います」
特別な“石井対策”はなかったが…
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“打たれない男”とはいえ、ソフトバンクの攻撃陣が全体で何か特別に石井対策をしていたということはない。ウイークポイントが周知されていたわけでも共通の狙い球があったわけでもなかった。しかし、それぞれの打者が「2度目は打ち損じない」というだけの能力の高さを持ち合わせていた。
延長戦となった試合は、10回からリリーフ登板した阪神のエース・村上頌樹が、11回に先頭打者の6番・野村勇に決勝ソロを浴びて3−2。ソフトバンクが4勝1敗で阪神を退けて、5年ぶりの日本一に輝いた。
この日本シリーズで2度テレビ中継のゲスト解説を務めた中日・大野雄大投手は「ソフトバンクのバッターは、強いスイングをしている。下位打線でもどんどん振ってくる」と話していた。盤石な投手陣と強力な上位打線でレギュラーシーズンを勝ち切ってきた、ある意味似たタイプのチーム同士の頂上決戦。スーパーリリーバーとエースがいずれも一発を浴びて決した最終戦は、ある意味で両チーム、両リーグの「振る力」の差を象徴するものだったかもしれない。

