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「ロバーツ監督、ピッチャー交代が昔から下手…」疑問視していたNHK解説者が…思わず絶賛「佐々木朗希が完全復活するきっかけになった」あのロバーツ采配
posted2025/11/01 11:06
ポストシーズンにかけて復活したドジャース佐々木朗希(23歳)
text by

遠藤修哉Naoya Endo
photograph by
Getty Images
シーズン中は制球難に苦しみ、一部メディアから厳しい批判を浴びたロサンゼルス・ドジャースの佐々木朗希。しかし、チームの救世主としてマウンドに君臨している。ワールドシリーズまでの10戦中7試合に登板し、8回を投げてわずか3安打、6奪三振、2四球。3セーブ1ホールド、防御率1.13、最速163.2km/hを記録した。
フィリーズとの地区シリーズ第4戦では3イニングをパーフェクトに抑えてチームをリーグ優勝決定シリーズに導いた。この劇的な復活ぶりを、NHK解説者の武田一浩氏はどう見るのか。
「俺も“インピンジメント症候群”だった」
「一番思うのは、メディアもふくめて、みんなの手のひら返しでしょう。調子が悪いときはあれだけ叩いておいて、もう“いじめ”の領域だったのに、いまや称賛の嵐ですからね」
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佐々木が今年5月に長期離脱した後、武田氏は『まだ23歳で、心と体のバランスが取れていない。佐々木はメジャーの環境に適応できていないだけだから、長い目で見てあげてほしい。みんなでいじめないでください』とNumberWebの取材に答えている。
シーズン序盤、佐々木の姿は痛々しかった。マウンド上で自信を失い、明らかに「目が泳いでいた」と武田氏は振り返る。かつて打者を圧倒したはずのストレートは高めに抜け、自慢のスプリットはワンバウンドを繰り返す。その不振の根本的な原因は、単なる技術的な問題ではなかった。
「俺も現役時代に『インピンジメント症候群』の診断を受けた経験があるから分かるんだけど、プロの世界では、ちょっとした違和感や不安が『インピンジメント症候群』のような体の痛みとして出てきてしまうことがある」
高校時代から常にエリート街道を歩み、プロ入り後も「過保護」と揶揄されるほど大切に育てられてきた佐々木。そんな彼が、メジャーという最高峰の舞台で初めて大きな壁にぶつかった。自分のボールが通用しない、思うように体が動かない――。その焦りとプレッシャーが、見えない形で彼を蝕んでいた。

