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「えっ」控室も驚き…藤井聡太から“二冠を奪った同学年”伊藤匠将棋は何がスゴいか「ただ“真の2強”になるには2日制で」と語る棋士も
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田丸昇Noboru Tamaru
photograph by日本将棋連盟
posted2025/11/04 11:04
王座戦第5局、伊藤匠は藤井聡太から2つ目のタイトルを奪い取った
「全体的に終盤で競り負ける形になってしまい、実力が足りなかったと感じています。少しずつ力をつけていくしかない」
2年前に八冠制覇の偉業を達成した藤井が実力不足とは思えないが、まだ途上段階にいるという心境なのだろう。伊藤新王座は記者会見で次のように語った。
「藤井さんとのタイトル戦では、番勝負を盛り上げる気持ちで指しています。王座戦は第1局の内容が良くなかったので、苦しい局面が多かった第2局を拾えたのが大きかった。そこから内容を上げることができました。良い状況で対局に臨み、その中で結果をひとつ出せました。まだまだ強くなれる余地があると感じています。最近は相掛かりが興味深い戦型で、いろいろとやってみたい指し方があります。藤井さんをライバル(記者からの質問に)と呼んでもらえるのは光栄です。ほかのタイトル戦でも藤井さんに挑戦したい」
ある棋士は「2日制で奪取したら真のライバルに」
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藤井が保持するタイトルは七冠から六冠に後退した。しかし棋界の絶対王者であることは変わらない。今後の棋界勢力図は、藤井と伊藤が中心になると思われるが、まだ「二強」とはいえない。実際、ある棋士はこう評している。
「藤井さんが圧倒的に強い2日制タイトル戦で、伊藤さんが奪取したら真のライバルになる」
伊藤二冠のタイトル挑戦が現時点で有力なのは棋王戦(1日制)。挑戦者決定トーナメントでベスト4に進出している。2年前に次いで藤井に再挑戦できるか注目したい。王将戦(2日制)の挑戦者決定リーグ戦にも入っているが、1勝2敗で挑戦は難しい状況である。〈将棋特集:つづく〉

