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「全力を尽くします」一度は受験保留も決断…福間香奈33歳は今度こそ“初の女性将棋棋士”になれるか「A級棋士相手に初勝利」した実力派女流も
posted2025/11/18 17:00
2度目の棋士編入試験受験の権利を獲得した福間香奈女流六冠
text by

田丸昇Noboru Tamaru
photograph by
Keiji Ishikawa
秋の女流棋界は大きな勝負や話題で注目された。
優勝賞金が1500万円から5000万円(特別賞の1000万円を含む)に増額されたヒューリック杯第5期白玲戦七番勝負(西山朋佳白玲−福間香奈女流六冠)、プロ公式戦で所定の成績を挙げて2回目の「棋士編入試験」を受ける福間女流六冠、女流王将戦でタイトル戦に初登場した元奨励会三段の中七海女流三段、王位戦でA級棋士に勝ってリーグ入りを狙う伊藤沙恵女流四段などについて、田丸昇九段が解説する。
白玲4期・西山は“プロ棋士まであと1期”
西山朋佳白玲(女流王将を含めて二冠=30)に福間香奈女流六冠(清麗・女王・女流王座・女流名人・女流王位・倉敷藤花=33)が挑戦したヒューリック杯第5期白玲戦七番勝負。高額な優勝賞金もさることながら、白玲を5期獲得すればプロ棋士への道が開かれることが事前に決まり、関係者やファンの関心は大いに盛り上がった。
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白玲戦は8月30日の第1局を皮切りに、ほぼ1、2週間おきに各地を転戦して行われ、いずれの対局も激闘が繰り広げられた。第3局を終えた時点で福間が2勝1敗と勝ち越したが、西山は終盤で負け筋だった第4局に勝つと、第5局も攻め合いを制して勝ち、白玲防衛に王手をかけた。
10月18日の第6局では相振り飛車の戦型になった。西山は中盤で飛車角を切って強攻した。福間の反撃には自陣の金2枚を捨てる苛烈な応手でしのぎ、終盤で鮮やかに寄せ切って4期目の白玲を獲得した。西山は記者会見では次のように語った。
「1週間おきに短期間で進んでいくので、コンディションを整えるのに精一杯でした。本局を含めて内容的に苦しい時間が長く、課題があると感じています。1年後の防衛戦に向けて、鍛錬をさらに積みたい心境です。白玲といえば西山(記者の質問に対して)、という印象を持っていただけるのは光栄です」
西山は記念色紙に「鵬程万里」と書いた。遥か彼方への遠い道のりのたとえ。現実には1年後の白玲戦が、プロ棋士への道が開かれる大勝負となる。
棋士編入試験挑戦、一度は要否を保留したが
一方で、敗れた福間はこう語った。

