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「阪神に行きたくねえな…」幼なじみが“まさかの阪神2位指名”でパニック…高校監督「阪神かホークスが2位、3位指名かもよ」ロッテ・田村龍弘のドラフトウラ話

posted2025/10/29 11:05

 
「阪神に行きたくねえな…」幼なじみが“まさかの阪神2位指名”でパニック…高校監督「阪神かホークスが2位、3位指名かもよ」ロッテ・田村龍弘のドラフトウラ話<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

2012年10月25日、ドラフト会議。ロッテから3位指名を受けた光星学院高・田村龍弘(左)と阪神から2位指名を受けた北條史也

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中村計

中村計Kei Nakamura

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 かつて大谷翔平よりも“天才”と呼ばれた同世代がいた。大谷に「負けた」と言わせた少年。大谷が落選した楽天ジュニアのエース……。天才たちは、30歳になってどうなったのか? 書籍『さよなら、天才 大谷翔平世代の今』が発売され話題になっている。
 その書籍のなかから“大谷世代、最後の1人”を紹介する。光星学院(現八戸学院光星)時代、3季連続で甲子園準優勝を経験したロッテ・田村龍弘。同世代から尊敬されてきた田村が語った、13年前のドラフト秘話。【全2回の1回目/第2回も公開中】

◆◆◆

阪神に行きたくねえな…

 2012年秋のドラフト会議の目玉は、大阪桐蔭の春夏連覇の立役者である藤浪晋太郎だった。

 そんな中、田村龍弘も強打の捕手として上位候補に挙げられていた。甲子園に四度出場し、17試合で打率3割9分7厘、ホームラン3本をマーク。実績は文句なかった。

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 田村が会議当日を思い出す。

「監督には、阪神かソフトバンクあたりが2位か3位ぐらいで指名するかもと言われてて」

 田村は密かに地元の人気チームである阪神からの指名を期待していた。その阪神は一巡目指名で、予想通り藤浪を指名する。藤浪は阪神以外にオリックス、ヤクルト、千葉ロッテからも1位指名を受けることになるのだが、抽選の結果、阪神が当たりくじを引いた。

 田村は、阪神が1位で目当ての投手を引き当てたため、二巡目は野手を指名してくるだろうと読んだ。

「僕、2位やなぁ、と思ってて」

 ところが、ここで運命の女神がとんだ意地悪をする。あろうことか阪神は田村のチームメイトである北條史也を2位指名したのだ。光星学院サイドからすると、予想だにしない展開だった。

 阪神に行きたくねえな……。

 瞬間、田村の脳裏を過ったのはそんな感情だった。

【次ページ】 田村が味わった“絶望”「正直レベルが違うんですよ」

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