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「なんでこんな人が二軍におんの?」ドラフト3位でロッテ入団、田村龍弘がプロ初日に感じた“絶望”…元・阪神ドラ1の先輩に「一軍はどんだけヤバいの?」
posted2025/10/29 11:06
千葉ロッテ田村龍弘。2012年のドラフト3位でロッテ入団
text by

中村計Kei Nakamura
photograph by
Hideki Sugiyama
その書籍のなかから“大谷世代、最後の1人”を紹介する。光星学院(現八戸学院光星)時代、3季連続で甲子園準優勝を経験したロッテ・田村龍弘。ドラフト3位で入団した直後に味わった“絶望”とは。【全2回の2回目/第1回も公開中】
◆◆◆
入団1年目のキャンプは二軍からスタートした。その初日に田村は小さな絶望を味わった。
「あれっ、ちょっとレベルちゃうわ、って。ファームの選手でこのレベルかい、と」
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田村の目を釘付けにさせたのは髙濱卓也の一挙手一投足だった。横浜高校から2007年の高校生ドラフト1位で阪神に入団。田村が入団する2年前、2011年に千葉ロッテに移籍してきたプロ6年目の左打ちの内野手だった。
「フリーバッティングではほとんどホームランやし、シート打撃をやってもばんばん打つ。守備もうまい。なんでこんな人が二軍にいるの? って思いましたね。一軍はどんだけヤバいの? って」
「諦められるやつがプロで活躍するんですよ」
その年の7月、田村は初めて一軍に昇格する。そこでは髙濱を見たとき以上の衝撃が待っていた。
「サブローさん、福浦(和也)さん、井口(資仁)さん、今江(敏晃)さんとかのバッティング練習を観たときに、レベルが何段階も違うなと思いましたね。ファームより一段階とか二段階とかじゃなく。これがプロの一軍と二軍の差なんや、と」
いずれも何年もクリーンナップを任された強打者たちだった。
「何段階も」というのは、がんばれば追いつけると思えるようなレベルの差ではなかったということか。そう問うと、一瞬だが、田村の目に陰が差したように見えた。
「ほんとはダメなんでしょうけど、そこでちょっとあきらめましたね。自分のバッティングスタイルを変えないといけないなって思いました。高校のときみたいに振り回してても、一生打てねえなと思いましたから」
打撃スタイルを変えることで少しずつギャップを埋めることはできたのかと続けて問うと、にわかに信じられないような言葉が返ってきた。


