- #1
- #2
野球クロスロードBACK NUMBER
「本当に志望届を出していいのか」ドラフト裏話…《楽天4位指名》高校No.1捕手がスランプに悩んだワケは? 転機となった兄の助言「プロの方が夢がある」
text by

田口元義Genki Taguchi
photograph byGenki Taguchi
posted2025/10/25 17:01
楽天から4位指名を受けた福島・学法石川高校の大栄利哉だが、実は直前までプロ志望届の提出を悩んでいたという
事故の直後こそ嘆いた。それでも「プロになる目標をモチベーションにリハビリに励めました」と、健大高崎とのセンバツ初戦では怪我を押して代打で出場する意地も見せた。
甲子園デビューを飾った大栄が「高校生屈指の野手」と呼ばれるようになったのは、今年4月に呼ばれたU18日本代表候補合宿からである。報道陣はもちろん、プロのスカウトも「大栄がいい」と口を揃える。評判は言うまでもなく本人たちにも届いていた。
佐々木が好感触だった当時を思い出す。
ADVERTISEMENT
「各球団のスカウトの方からお話を聞いても『(代表候補の野手で)一番よかった』と言ってくれていましたから。これは間違いなく行けるだろうと、進路をプロ1本にしたわけですが、そこから『おやおや?』となり……」
佐々木の懸念は、合宿後の春季大会から少しずつ表れるようになった。
プロになるためにピッチャーを封印し、キャッチャーに専念してもパフォーマンスは上がらない。
まさかの不調に…「本当に志望届を出していいのか」
このあたりから、大栄は自身の進路について「プロ」と明言せず、「夏の大会が終わってから考えます」とはぐらかすようになった。
「春から自分のなかで満足のいく結果を出せなくて。夏の大会も春に比べて全然ダメだったので、『本当に志望届を出していいのかな』と考えるようになっていって」

