熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
「ブラジルならケンカなのに」J1で111ゴールFWエジミウソンがJリーグに苦言「“ツギ、ツギ”でいいの?」「でも来年は長女と日本に…楽しみだ」
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沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byHiroaki Sawada
posted2025/10/26 11:03
43歳となったエジミウソン。少々ふくよかになったが、日本への愛は今も変わらなかった
「かつては、技術は高くてもフィジカル面や精神面で弱みがあった。たとえば、韓国のようにフィジカルが強いチームと対戦すると、試合前から弱腰になっていたように感じた。でも、今では欧州でプレーする選手が大半で、戦術的にも精神的にも格段の進歩を遂げており、それがチーム力を押し上げている」
――ただ、今年6月から7月にかけてアメリカで開催されたクラブワールドカップで、浦和はグループステージで3戦全敗に終わった。
「テレビで試合を見ながら、浦和を応援していた。残念だった」
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――なぜあのような結果になったと思いますか?
「浦和の選手は、技術はあるし、戦術眼も高い。精神的な問題だと思う。外国の強豪クラブと対戦する経験が不足しており、欧州でプレーする日本人選手のような逞しさがなかった」
敗因を追及せずに「ツギ、ツギ」でいいのか
――今後、Jリーグを中心に日本のフットボールがさらに発展するために何が必要でしょうか?
「方向性はおおむね、今のままでいい。でも、いくつかの提言がある」
――何でしょうか。詳しく教えてください。
「試合で負けると、ロッカールームで日本の選手はすぐ『ツギ、ツギ』と言う。気持ちを入れ替えて次の試合で頑張ろう、ということだよね。ただ、敗因を追及せずにそう言うのには違和感を覚える」
――ミスを追及すると責任の所在を探すことになりかねないので、やりたがらない、ということでしょうか。
「他人を尊重する、という日本の文化から来ていると思うんだけど、これはスポーツでは良くないと思う。ブラジルでは、負けた試合の後はロッカールームで喧々諤々の議論になる。ミスの責任を問うこともあるから、つかみ合いの喧嘩になりかけることもある。でも、みんなで話し合って反省をしたら、しこりは残らない」
選手への叱咤激励は、一種の愛情表現だと思う
――なるほど。他にはどうでしょうか?
「これも日本の文化かもしれないが、日本では試合に負けてもファンが温かい。負けたチームにも拍手をしてくれる。これは、ありがたいと思う選手もいるかもしれないが、僕は嫌だったな」
――ブラジルでは、負けたらスター選手にも罵声が飛ぶ。大敗したら、家族共々、町を歩けなくなる。ファンから散々に野次られますからね。
「僕たち選手も、ファンだった頃は負けたチームに野次を飛ばしていた。選手に暴力を振るうのはいけない。でも、選手を批判して奮起を促すのはファンの権利だと思うし、そのことが選手を成長させることもある」
――近年では、日本のファンもかなり厳しくなっているようです。でも、ブラジルなど南米のファンと比べると、まだまだ優しい部分があるようです。
