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斎藤佑樹はゴロでアウトを稼ぐべし!
マダックスに見る技巧派投手の戦略。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byMiki Fukano
posted2011/02/10 10:30
連日の厳しい練習に汗を流す斎藤佑樹。宿舎での夜の過ごし方をメディアに尋ねられると「パソコンや音楽を聴いたり。ゲームを持ってきているので……引き籠りですよ」と殊勝な言葉を返した
斎藤もお手本にすべき、マダックスの秘密の作業とは?
マダックスの投球哲学を知る上ではいくつかの書籍があるが、日本では『マダックス スタイル』の書名で翻訳された本のなかには、マダックスのこんな言葉がある。
「登板した試合の後には必ずその内容を検証しなくちゃいけない。めった打ちを食らったときでも完全試合を達成したときでも」
この言葉を読んで思い出したことがある。ドジャースでマダックスとチームメイトだった斎藤隆は、クラブハウスのビデオで分析しているマダックスを目撃している。
「マダックスの面白いところは、他の人がチェックしないようなポイントでビデオを止めていたこと。他の投手とは見ている場所が違うんです」
その中身はマダックスの企業秘密だったようだ。打者なのか、それとも自分のフォームなのか。分析し、次の登板に打ち取る術を考える。投手はその繰り返し。
斎藤はGB率を高めるために、相手を知る必要がある。開幕まで、そのために猛勉強が必要だろうが、私の希望としていつか斎藤がマウンドに立つ日は、かつてマダックスが投げると分かった日のような、心が浮き立つものを感じられたらうれしいだろうと思う。
そうなる日が来ることを祈る。