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社会人で急成長してプロ入りを目指す、
2011年ドラフト有力候補を見逃すな。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2011/02/12 08:00
JX-ENEOSの大塚椋司は最速151キロの直球と落差の大きいスライダーが魅力の本格派右腕。プロのスカウトからは中継ぎ、ストッパーとして期待されている
アマチュア野球のことを書くと高校、大学に偏りがちで、ついつい社会人が手薄になる。そこで今回は2011年ドラフトの社会人候補について詳細に報告してみたい。
昨年のドラフトで指名された社会人選手は次の16人(育成ドラフト除く)。
● 阪神1位・榎田大樹 (東京ガス/投手)
● 横浜1位・須田幸太 (JFE東日本/投手)
● 楽天2位・美馬学 (東京ガス/投手)
● 西武2位・牧田和久 (日本通運/投手)
● ヤクルト2位・七條祐樹 (伯和ビクトリーズ/投手)
● オリックス3位・宮崎祐樹 (セガサミー/外野手)
● ロッテ3位・小林敦 (七十七銀行/投手)
● 中日3位・武藤祐太 (Honda/投手)
● 広島3位・岩見優輝 (大阪ガス/投手)
● 横浜3位・荒波翔 (トヨタ自動車/外野手)
● 広島4位・金丸将也 (東海理化/投手)
● ヤクルト5位・久古健太郎 (日本製紙石巻/投手)
● 横浜5位・大原慎司 (TDK/投手)
● 日本ハム6位・齊藤勝 (セガサミー/投手)
● 西武6位・熊代聖人 (王子製紙/外野手)
● ヤクルト6位・川崎成晃 (熊本ゴールデンラークス/外野手)
それ以前、過去9年の指名人数の推移も見てみよう(元企業選手は除く)。
'01年=25人(箕島球友会含む)、'02年=18人、'03年=14人、'04年=26人、'05年=28人、'06年=25人、'07年=9人、'08年=15人(甲賀健康医療専門学校含む)、'09年=18人
社会人は休・廃部の嵐が吹き、企業チームは年々減少の一途を辿っているが、過去9年のドラフトでは178人が指名されプロの世界に旅立っている。
'10年のドラフト指名選手で高校、大学時代から有名だった選手は岩見、荒波、熊代くらいのもの。あとは無名か、名前が知られていても「ドラフト候補」として知られていたわけではない。
そういう選手をプロ仕様に作り上げる社会人指導者のコーチング技術はみごとと言うほかない。
個性豊かな投球が光る、今季社会人野球のエースたち。
今年の1~3位候補は、現段階では次の6人の名前が挙がる。
武藤好貴(JR北海道・投手)、佐藤達也(Honda・投手)、小石博孝(NTT東日本・投手)、岩佐海斗(東京ガス・投手)、大塚椋司(JX-ENEOS・投手)、祖父江大輔(トヨタ自動車・投手)
武藤は体の近くで腕が振れるところが最大の長所である。球種は130キロ程度のフォークボールが落差の大きさとブレーキの鋭さで目を引く。ストレートは速さこそ平均点止まりだが、ボールが出てくる角度や球持ちの良さに見どころがあり、都市対抗野球大会の三菱重工名古屋戦では6回を2安打、1失点に抑え、スカウトの注目を集めた。