フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
りくりゅうに戻った笑顔「完成度が高い…」「自分で言うか(笑)」フランス杯で優勝した三浦・木原の表情が変わった理由「昨年は追い込みすぎた」
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田村明子Akiko Tamura
photograph byAFLO
posted2025/10/24 17:06
GP初戦のフランス杯で優勝を果たした三浦璃来と木原龍一
「グラディエーター」は二人が歩んできた道のり
新フリーはマリー・フランス・ドゥブリュイユ振付による「グラディエーター」。もっともテーマは二人が歩んできた道のりで、映画は影響を受けないようあえて見ていないという。
後半アンドレア・ボッチェリーがイタリア語で歌う「Nelle tue mani (Now We Are Free)」のメロディにのって二人の伸びやかなスケーティングを存分に見せ、最後は木原が三浦を両手で頭上に持ち上げた力強いポーズで終わる。
「先生はそこまで推している技ではなかったんですけど、僕たちからやりたいっていうような感じになったので、そこから先生たちにブラッシュアップしていただいて」と木原。終わってからも疲れている姿を見せないことが、課題の一つだという。
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今回は連続ジャンプ、リフトで小さなミスもあったが、これを二人がミラノの氷の上でノーミスで滑りきったところを想像すると、鳥肌がたつほど迫力のあるプログラムだ。
りくりゅうの表情が変わった理由
今回の大会を通して、もっとも印象深かったのは、二人の表情が変わったことだ。先シーズンは木原の怪我の影響もあったのか、記者たちの前でもいらだちを隠せないこともあり、取材中に空気がピリピリするようなこともあった。だが今季はまるで憑き物が落ちたかのように二人の表情が落ち着いて、本来の明るいオーラが戻っている。
「やっぱり昨年、追い込みすぎた」と三浦はその理由を説明する。「それを気づくことができたのが、本当に大きな瞬間だったなって思います。それがあったからこそ、今シーズンは本当に心に余裕が持てて、これも試してみようみたいな、というような新しいちょっとした挑戦もできる。本当に昨年の経験があって良かったなって思っています」
その気づいた瞬間はいつだったのか。
「全日本ですね。全日本」と三浦が言うと、木原が「お葬式みたいな……」と続けて笑った。「そうそうそう(笑)。それがあってから、もうそこまでこうなってても、出来ない時は出来ないですし。だからそれだったらもう楽しく、どうせなるんだったら、楽しくやろうみたいな風になりました」と三浦はすっきりとした笑顔を見せた。



