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ドジャース佐々木朗希「配置転換はむしろこの時期で良かった」元メジャー右腕が解説“リリーフの準備”日米の違い…肩の作り方や連投「即適応できた理由」
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五十嵐亮太Ryota Igarashi
photograph byGetty Images
posted2025/10/12 11:05
リリーフとして大車輪の活躍を見せる佐々木朗希。チームメートからの信頼は日に日に高まっている
朗希の本来の良さを「最大に引き出す」起用
思い出すのは、メジャーデビュー戦となったカブスとの東京シリーズの初回のピッチングです。いきなり力でどんどん押して打者を牛耳ったのですが、2イニング目以降はピッチングが乱れてしまった。長いイニングを投げるために、多少出力を落としてスライダーなど変化球の割合も増やして抑えようとするあまり、彼の本来持っている良さが薄れてしまったのです。
開幕当初は、先発として長いイニングを投げる中でどうやってアジャストしていこうか迷っていたと思うのですが、そうしているなかで肩の状態が悪くなってきて、悪い循環に陥ってしまったように見えました。翻ってみれば、東京シリーズの初回にあれだけ凄いボールを投げられて力で押せるということは、基本的に彼は短いイニングで全力を出し切れるピッチャーであるということ。ロバーツ監督は、佐々木投手の良さを引き出すことを考えてリリーフでの起用を決めたのだと思います。
“クローザー朗希”決断の転機は…
ポストシーズンでは、その監督自身、佐々木投手の起用に迷いが見える場面もありました。彼がシーズンで復帰後2イニングしか投げていないこと、過去にもリリーフで実績が全くないことを考えれば、当然ですよね。7日のフィリーズとの第2戦では、3点リードの9回にトライネンを送り込んだものの1点差に迫られ、べシアから結局は佐々木投手が緊急リリーフで打者1人を抑えて逃げ切りました。この結果は、短期決戦でここから先も重要なところは彼に任せるんだ、と決断する大きな転機になったと思います。
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さらに第4戦で3イニングを完璧に抑えたことで、厳しい場面でのロングリリーフも任せられることが証明された。その力を認めざるを得ないというか、ここから先の戦いでも、クローザーをはじめとして厳しい場面で彼に託すことは間違いない。シャンパンファイトでのロバーツ監督の言葉通り、まさに「朗希に乾杯!」といったところでしょう。
ブルペン陣の調整「日米の大きな違い」
先発との違いというところでリリーフの難しさの一つが「肩を作るタイミング」だと思います。ただ、日米ではブルペン陣の調整の仕方は違って、アメリカは「Ready」と言われて準備すれば高い確率で次の回にマウンドに上がる。日本のように何度も肩を作ったり、準備が無駄になったり、ということはあまりないんです。


