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「二軍は借金31の最下位…大丈夫?」「それは全く別物」ヤクルト“新指揮官”池山隆寛の手腕を監督OBが解説「移動便や門限まで決める」監督業のリアル 

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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photograph bySANKEI SHIMBUN

posted2025/10/09 17:00

「二軍は借金31の最下位…大丈夫?」「それは全く別物」ヤクルト“新指揮官”池山隆寛の手腕を監督OBが解説「移動便や門限まで決める」監督業のリアル<Number Web> photograph by SANKEI SHIMBUN

来シーズンのヤクルト新監督に就任する池山隆寛・二軍監督

――今シーズンでいえば、ヤクルトの二軍はイースタン・リーグ最下位の8位でした。45勝76敗2分で借金31。参入2年目のオイシックスより下の順位という状況から、池山二軍監督の采配を不安視する声もあるかもしれません。

真中 それは全く気にしなくていいと思います。二軍のチーム成績は度外視。そもそも目的が違いますから。

二軍監督が“絶対してはいけないこと”

――育成が主体であって、勝利を求めるものではない?

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真中 若い選手を起用して経験を積ませることが第一です。ただし、間違ってはいけないのが、“二軍は負けていい”という意味ではないということ。出ている選手たちは勝つための野球をやらなければいけない。でも、二軍監督が「二軍の試合に勝つため」の選手起用をするのは絶対ダメです。中堅選手や一軍から降りてきた選手を使えば、ある程度試合に勝ててしまいますからね。そういう意味で、試合に負けることによって監督としての評価が下がるというのでは悪い循環が生まれて、若手選手が育たなくなってしまう。

――ヤクルトは故障者も多く、二軍に皺寄せが来てしまう部分もありますからね。

真中 特に今年は、一軍の先発ローテーションを9人、10人で回していましたよね。6人で回せば残りの3人は二軍でローテーションを回せるけれど、ヤクルトの場合はその3人が調整優先になるので、中継ぎの若いピッチャーなどが二軍戦で長いイニングを投げなければいけなくなる。池山二軍監督のやりくりも大変だったでしょうし、勝ち負けという部分に関しては厳しい状況だったと思います。

――なるほど。

真中 日本ハムも一軍が強い時はファームがいつも5位6位にいましたよね。私が二軍監督として対戦していた頃は、今やソフトバンクで活躍している上沢(直之)がよく投げていたのを覚えています。中盤で打ち込まれても必ず100球以上、7回くらいまで投げ続けていた。その経験が生きてしっかりと育ちましたからね。

新監督に就任して最初にする仕事って?

――そもそも、監督に就任して最初に取り掛かるのはどんな仕事なのでしょう?

真中 まずは秋のキャンプ。本来ならば選手個々の能力アップに時間を使いたいところですが、監督が交代するタイミングでは、秋のキャンプでチームとして何に取り組んでいくかという方針や考え方をある程度浸透させる必要がある。細かい話ですが、サインプレーのここを変えていこうとか、ここは省いた方が効率的だとか、そういうこともその時点で伝えておけばスムーズです。

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